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カテゴリ:劇やら映画やら( 21 )
三谷幸喜脚本 国民の映画 マチネ PARCO劇場
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2月22日 マチネ 渋谷PARCO劇場

まさかのY列!(前から2列目です)ご一緒してくださった方がとってくださいました。こ、こんなよい席で見られるなんて。どうも有難うございました。

小日向文世 ヨゼフ・ゲッべルス
段田安則 ハインリヒ・ヒムラー 
渡辺徹 ヘルマン・ゲーリング 
吉田羊 マグダ・ゲッべルス
シルビア・グラブ ツァラ・レアンダー
新妻聖子 レニー・リーフェンシュタール
今井朋彦 エーリヒ・ケストナー
小林隆 ゲッべルス家執事 フリッツ
平岳大 グスタフ・フレーリヒ
秋元才加 エルザ・フェーゼンマイヤー
小林勝也 グスタフ・グリュンドゲンス
風間杜夫 エミール・ヤニングス
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チャップリンの映画を楽しそうに見ているヨゼフ・ゲッベルス(小日向文世)。執事のフリッツ(小林隆)が映写機をまわしている。見終わった後、チャップリンの映画をフリッツと語らうゲッペルス。フリッツは映画に造詣が深い。
二階から頭が痛い、とガウン姿のままでマグダ(吉田羊)が降りてきた。早く着替えろ、今日はパーティーだと命令するゲッベルス。私はパーティーに出ない、と突っぱねるマグダ。この二人は世間では理想の夫婦と呼ばれている。

ゲッペルズはフリッツにマグダへ今日のパーティーリストを告げるように言う。そこにはケストナー(今井朋彦)の名前も連なっていた。マグダは顔色を変える。ケストナーはマグダの憧れの作家。もしくはそれ以上。現在のケストナーは現政府に批判的で、故、ケストナーの書物はゲッベルズの手によって焚書され、本を出版することが出来ない。そのケストナーが今日のパーティーに来るのだと。作家としては非常に優秀だから、とゲッベルズは不敵な笑みを浮かべる。マグダは胸の高鳴りを抑えられない。

招からざるヒムラー長官(段田安則)が館をうろついている。ヒムラーは警察のトップである。何を探っているんだ、とヒムラーの動向を鬱陶しく思うゲッペルズ。映画のことなんか何もしらない、チャップリンすら知らないというのに。

ゲッペルスが2階にいって着替える間にヒムラーはフリッツに探りを入れる。大臣はこの頃映画に夢中だ。何を考えているのかと。
フリッツはご本人でお聞きになればよろしいのでは、とヒムラーに答える。
「大事な事は本人に聞かないというのがポリシーだ」
ヒムラーはそう言ってフリッツの用意したぬるめの牛乳に口をつける。

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館に一番の客が着く。
ツァラ・レアンダー(シルビア・グラブ)である。ツァラはスェーデン出身の女優で、歌もたいそう上手い。思慮深くはないが、華やかで明るい。自分が一番に到着したことを憤慨して出直す、とまた出ていってしまった。主役は最後に登場するものでしょ、と。

「声がしたようだけど」
とマクダが2階から降りてくる。マグダはまだ着替えていない。
「そういえば、奥さん。」
とヒムラーがマグダに話しかける。
春にマグダは害虫のことで悩んでいたようだから、害虫駆除の仕方を教える、と言い出す。ヒムラーはこの仕事につく前は薬品会社の研究室にいた。春先に葉につく虫は冬のうちに駆除するのがいいのだ、と。

ヒムラーは何をさぐっているんだろう、二人きりになるな。とフリッツに言うゲッペルズ。



客が来る。

監督兼俳優のエミール・ヤニングス(風間杜夫)だ。マグダ曰く、ゲッベルズの腰巾着の。
ヤニングスの映画仲間が国家へ反逆し、死んだ。その人間の墓参りをした人間がヤニングスの周辺の映画関係者にいる。収容所送りだ、と息巻くゲッペルズ。必死に庇うヤニングス。強硬に処分しようとするゲッペルズにフランツがその政府に於ける危険分子達がどれだけ映画界にとって優秀な人材かを説明する。フランツの言葉を聞き、収容所送りは免れたな、と言うゲッペルズ。ヤニングスとフリッツはほっとする。
収容所の話しは終わり、ヤニングスがゲッペルズに映画の企画の話しを持ち込む。ビスマルクの映画。


次の客は当代きっての色男、グスタフ・フレーリヒ(平岳大)と新人女優のエルザ・フェーゼンマイヤー(秋元才加)だ。
エルザはゲッベルズの好みそのもので、エルザを見るなりゲッベルズは彼女に好意をあからさまに示す。エルザもチャンスを掴もうとゲッペルズに取り入ろうとする。


ツァラが再度登場。主役は最後に来るものでしょ、と登場するが、まだ客は続くらしい。憤慨したが、ゲッペルズとエルザのただならない雰囲気に興味を示し、面白そうに観察している。
「あの子はゲッペルズのお気に入りね」
とヤニングスと噂し、庭から戻ってきたマグダに
「あの若い子、お宅の旦那とどうにかなりそうよ」
と告げ口する。
「わかっているわよ、そんな事。」
マグダは全く動じない。いつもの事だもの、そんなの。
「あんたが一番女優なのよねえ!」
ツァラがマグダに感嘆する。

ヒムラーは、害虫駆除の任務を遂げ、庭から戻ってきた。害虫を処分しようとするフリッツに「虫にだって命があるんだ。いたずらに苦しめないように。」という。フリッツは虫は森に逃がす、と言う。納得するヒムラー。

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客が来る。
レニ・リーフェンシュタール。(新妻聖子)
ベルリンオリンピックの記録映画「オリンピア」や「意志の勝利」を撮った女流映画監督だ。現在のドイツでは一番有名な監督とされている。
レニは生意気で傲慢な女だ。ツァラやヤニングスには冷たい態度をとるが、ヒムラーやゲッペルズの前では態度を豹変させる。
権力にとりいって仕事をもらうタイプだからな、とヤニングスに陰口をたたかれる。ゲッペルスはレニにエルザを新しい映画で使ってくれ、と言う。言葉を濁すレニであったが、最終的にゲッペルスの意見を取り入れ、そのやりとりをヤニングスに激しく揶揄される。


客が続く。

グスタフ・グリュンドゲンス。(小林勝也)国を代表する名俳優。エルザがあなたの映画はほとんど見ています、と挨拶する。例えば?とエルザに返すグスタフ。見え透いた嘘は身を滅ぼすよ、とエルザを笑うグスタフ。グスタフはいちちわざと嫌味を言う。でもその嫌味は全て核心をついているのだ。

エーリッヒ・ケストナー登場。(今井朋彦)
何で呼ばれたのかわからないけれど、食べ物につられて電車できたという。
タキシードももってない。危険分子のケストナーです、と自己紹介する。マグダが緊張して挨拶するが「初めまして」と言われてしまう。落胆するマグダ。

ツァラに言われて占いをするヒムラー。
「今日招かれざる客がくる。ここの主人が会いたくない人。そしてここで発砲がある。」

皆が揃ったところでゲッペルズが食事の前にスピーチをする。
自分は映画をどれほど好きかということ。この館も風と共に去りぬの階段に似ていたから買ったのだということ。映画は総合芸術だと思っていること。映画こそが芸術の最高峰だと思っているlこと。

そこへタンホイザーの入場行進曲を大きな声で歌いながらゲッペルズの嫌いな男が登場する。彼こそが招かれざる客、ゲーリングだった。(渡辺徹)苦虫を噛み潰したような顔でゲーリングを見るゲッペルズ。あなたを招いた覚えはないときっぱりというが、グスタフの様子を見に来た、と言い、食事をして行くという。

とここで一幕が終了。
二幕ではこの館にこの面子が呼ばれた理由と計画、その計画が頓挫していく過程が描かれていきます。ある者は権力に擦り寄り、ある者は自分の信念を曲げず、ある者はもう見ぬふりは出来ない、といい、ある者はそれでもユダヤ人をヒトではなく、道具として見続けた。

収容所が出来る前はガス室は移動式のトラックで一度に10人しか生物的処理が出来なかったのが、収容所が出来れば1日24時間フル稼働すれば9万人を処理出来る、とユダヤ人の執事の前で話しをするヒムラーとゲッッペルズ。何のためらいもない二人に「狂っている」と背を向ける映画人達。

ナチスがやったことは非情で身の毛もよだつ事だけれど、あのような政策が生まれたのは、ただある日突然という事でもないのかなあと思います。イギリスやフランスが植民地政策を行わなければ、第一次世界大戦でフランスがドイツに莫大な戦争賠償金を求めなければ、いろんな要因が重なって、重なって、歪みが歪みを産んで、ナチスが誕生したのではないかと。もちろんナチスの政策はあまりにも酷いけれど、いやいや、イギリスもフランスも相当でしたよね?と思わなくもないんだよなあ・・・。植民地政策とかどうかと思うよ、ほんとに。とにかく何というか、自分の快楽の為に他人を平気で犠牲にすると必ず歪みが生じて、その歪みは想像以上に膨らみ、爆発してしまうんじゃないかと。そんな風に思ったのでした。

しかしな。
私の通っていた学校では近現代史をすっとばしたんですよね。
明治維新で日本史終了。だから中華人民共和国と中華民国の区別とか、ハルノートとか、ヴェルサイユ条約とか大人になってから知ったのですよ。これってどうしてだったんだろう?あんなに前方後円墳とか、寝殿造りとかはるか悠久の彼方の歴史に時間をかけるより近現代史をやったほうがはるかによかったと思うんだよね。でもどのセンセイも明治維新で終わってしまったようだし、それが学校の方針だったのか、当時の文部省の方針だったのかは今となってはわかりませんが、近現代史に触れずに日本史終了するって、これもある意味全体主義だよねー。知らされていないから議論も起こらない。感想も持たない。だから朝日新聞の問題とか河野談話とか出たんだろうねー。


でもって役者は皆さんがとてもよかった。
小日向さん、段田さん、風間さんは本当にうまいー。なんであんなにうまいんだろう?役者の上手い下手ってなんですかね?あとシルビアさんがとても素敵でした。

三谷さんの作品の中ではもしかしたらダントツで好きかも。
もし再演したらまた絶対に見に行きます。
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by mareemonte | 2014-10-17 13:45 | 劇やら映画やら
蒼の乱 2014年4月4日 ソワレ
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劇団新感線「蒼の乱」
シアターオーブ 2014年4月4日 ソワレ

作 中島かずき
演出 いのうえひでのり

いのうえ歌舞伎初参戦。蒼の乱を観てきました。3か月前の話ですが。

いのうえ歌舞伎に出ている天海祐希見たさにチケットとりました。
感想。
天海祐希はえらい綺麗だった。もー、すごい綺麗だった。
早乙女太一の殺陣が他の人とは違った。上手下手というのでなく、別物だった。あ、早乙女太一の弟もうまかった。殺陣というよりは舞っているみたいで、なんだかすごい、この兄弟。
平幹次郎、御年80歳。圧倒的な存在感。際立って上手な人は80歳でも第一線に立てるというのが演劇なんだなあ。80歳とはとても思えない佇まいと声量。もはや人間ではない。
梶原善もよかったなあ。いい人なんだか、悪い人なんだか、謎めいていて、かけひき上手な役どころがぴったり。

劇団新感線はお金持ちですね。天海祐希と高田聖子は1幕だけで3度も衣装が変わっていた。舞台装置もぐるぐる動くし、場面ごとに背景も大道具も総とっかえだし、照明はド派手だし。演劇やっている人ならこんな舞台、一度は立ちたいと思うんじゃないだろうか。
上演時間は3時間40分!いままで見てきた舞台の中でダントツの長さ。ご一緒した方々と見終わった後「つ、つかれたね・・・」と言い合ってしまった。観ているだけで疲れるんだから、演じている側の方々はさぞかしお疲れのことでしょう。

いのうえさんの脚本と演出は説明的で、わかりやすい。(でも多分、説明的だから上演時間が長くなるんだろう)野田地図みたいに観た後、「あれってどういう意味だったんだろう・・」とか延々と考えることがなかったです。その場が楽しく、美しく、華やかで「あー!面白かった!」という感じで、気分よく帰路につけたのでございました。新感線は楽しくていいな。長いけど。

ところで最後のシーン。
天海祐希さんが真青な空と風になぶられる草原の中で一人で長台詞を言う、というものだったんだけど、サウンドオブミュージックでマリアが歌うシーンみたいだったと思ったのは私だけでしょうか。

次はラストフラワーズチケット確保。大人計画と劇団新感線のガチンコですっ。楽しみだー。
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by mareemonte | 2014-07-10 15:28 | 劇やら映画やら
大パルコ人2 高校中パニック!小激突!!感想  渋谷PARCO劇場
「あたしのおとーさんは俳優なの。皆川猿時っていうの。クライマーズ・ハイって映画に出たの。堤真一さんとか出てるやつ。その映画はおとーさんの大好きな地方ロケがあったの。前橋でロケがあって、なんでおとーさんがロケが好きかって言うと、ロケの後お酒をみんなで飲めるからなのね。その映画は山崎努さんとか遠藤憲一さんとかも出てて、おとーさんは年上の俳優さんとお酒を飲むのが好きなのね。で、その日のロケの終わりに誰かいないかなー、あ、遠藤憲一さんがいた、ビール2本くらいな、それで一緒に飲みたいって、憲一さんを誘ったのね。そしたらその飲み屋のカウンターにね、女の子がいたのよ。たぶんあれは○○の子だね、おとーさんの事みて『おにーちゃん?おにーちゃんでしょ?』って言うの。ずーっと言ってるの。『おにーちゃん!』って。そのうちだんだんめんどくさくなっちゃってお父さんは『そーだよ、おにーちゃんだよ』って言ったの。そしたら今度は『違う!おにーちゃんじゃない!』ってその子言うの。これが前橋おにーちゃん事件ってやつ。地方ロケはいろいろあるのよ~。」

この台詞は皆川ナマズ(皆川猿時)のものなんだけど、どうもアドリブらしい。脚本にはないらしい。それにしてもながっ!アドリブにしてはながっ!

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押忍!メカの次はバカだ!
バカとロックと短ランとジャージとタバコとタイマンとうまい棒とプレハブと新田恵利の「冬のオペラグラス」とエロ本とバカ。
略してバカロックオペラバカだ。
近未来なのに昭和だ。20代30代40代の不良学生がロックを歌いながら高校中で小激突!
そんなの今しかできねえよ!バカ!

宮藤官九郎


作・演出宮藤官九郎

音楽綾小路翔、上原子友康(怒髪天)、宮藤官九郎、
小園竜一、坂本慎太郎、富澤タク、益田トッシュ、
三宅弘城、向井秀徳、横山剣(クレイジーケンバンド)※五十音順

出演佐藤隆太、勝地涼、永山絢斗、川島海荷、三宅弘城、
皆川猿時、少路勇介、よーかいくん、宮藤官九郎、坂井真紀、綾小路翔

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2014年の私のスケジュール帳。あほだ。


12月28日 マチネ (渋谷PARCO劇場)

超絶に面白かったです。
1幕80分、休憩15分、2幕80分、合計3時間の長丁場の舞台でしたが、長さは全く感じず。話は高校間の抗争とか友情とか、一応あるにはあるけど、あんまりなくてもいいというか、主題とかそういうのは全く気にならないというか、そもそも主題とかないかも。あと新田恵利は出てこないかも。ただひたすら3時間ぶっちぎりで小ネタと下ネタとバカで構成されていたお芝居でございました。でも演出の構成はすごく緻密だった。沢尻ピリカ〈三宅弘城)とムカデ(佐藤隆太)がPARCOの本屋に行ってエロ本を買う中継を大画面で写しながら、芸能人水泳大会みたいに地下之チカ(川島海荷)が舞台で歌ったり、2幕の初めに1幕のおさらいをしてみたり、登場人物がゲームキャラになって画面に映し出されたり。その隅々まで行き届いた演出とクオリティの高いバカさ加減にいちいち感動しちゃった。「マカロニほうれん荘」と「「がきデカ」と「湘南爆走族」と「ビー・バップ・ハイスクール」を足して混ぜたような感じっていうんですかね。不条理のギャグマンガ+エロギャグ+ツッパリ漫画+サイコーのロック=高校中パニック!小激突!!。漫画の世界を実写化してこんなに面白くしちゃうクドカンは本当に天才なんだと思った。いやー、えらいもん見ちゃったよ。

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聖ファイヤーバード高校は進学校。もう一度言う。聖ファイヤーバード高校は進学校。

また音楽が素晴らしいのです。オープニングの高校中パニック!のテーマにはやられた。しょっぱなを宮益坂わたる(綾小路翔)が歌うんだけど、これがかっこいいんだわ。声質が曲にすごく合っていた。音楽は怒髪天の上原子さんや向井秀徳さん、クレイジーケンバンドの横山さん、益田トッシュさん、富澤タクさん、小園竜一さん、坂本慎太郎さん、気志團の綾小路翔さんが曲を提供。劇っていろんな人が作った音が入るとすごく豪華になりますね。どの曲も個性的だから、舞台がカラフルになって、ボリュームが出る感じ。

今週末に愛知公演があるのであらすじの派手なネタバレは控えます。

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役者さんのこと。

佐藤隆太さん
尊敬するのは松岡修造、好きなタイプはクルム伊達公子、テニス部と間違えてテニスミュージカル部に入ってきてしまった聖ファイヤーバード高校のムカデ役。小学生の頃、カゼギミの父にカゼギミの代わりに殴られ過ぎて痛みを感じない体になってしまった。テレビで見る通りの好青年だったです。

勝地涼さん
冒頭ですぐに殺されてしまうカジツ、グレッジ工業高校に進学する風間カゼギミの二役。「あまちゃん」の前髪クネオで1日だけの登場だったのに、とっても話題になった勝地さんは正統派のイケメン。がしかし、自分の容姿を無視したはじけっぷり。ほぼ全裸のような恰好で全身冷えピタ貼って全力で音外して歌う姿(音痴設定なので)に役者魂を感じました。長ラン着て「おいこら、おいこらー」連発の広島弁が似合ってらした。

永山絢斗さん
「すいまティン!」のティンはティンカーベルのティン。謝りながらも輝く的な神フレーズを使う駒田先生はグレッジ工業高校の新任体育教師。一幕目は気弱そうな教師だったのに、二幕になったらヤンキー先生になっていた。「ヤンキーが先生になったんじゃなくて、先生がヤンキーになったんだから、先生ヤンキーじゃけ、こらー!」と叫ぶ姿は本物のかほりが(笑)

川島海荷さん
カゼギミに「ちっちゃくてー、かわいくてー、かわいくてー、ちっちゃくてー、いもうと。」とつぶやかれる地下之チカ役。この舞台の中で唯一まともでアイドル全開。「まっしぐら!ブリキュア!」「走れ!アグレッシブ先輩」を歌うチカちゃんはアイドルの王道を走りまくりで可愛かった。がしかしピアノもしょえますし、ケリもいれますし、パンチも強いです。

三宅弘城さん
沢尻ピリカとDJボビーの二役。そしてそしてそして!ロックミュージカル・ドラム担当。三宅さんのドラム、かっこいい!沢尻ピリカの上半身丈詰め、長いスカートのスケバンないでたちでドラムをたたく三宅さん、ほんっとに素敵。お客さんを馬にしてのハードル、乱闘シーン、器械体操をやってらしただけに身体能力の高さが際立ってらしました。実際の乱闘になったら、きっとこの中で一番強いと思う、三宅さん。「青春のおちこぼれ」で風を受けながらソロで歌う姿が素敵でした。わはははは!

皆川猿時さん
皆川ナマズ、皆川S太先輩、ブリキュアのどんぶり役。私の席からとても近い位置でお顔を拝見しましたが、実はイケメンなんだな。やばくNIGHT☆JAPANをスイートに歌いながらも笑いをとれる猿時さん。去年拝見した「ふくすけ」でもカッ飛ばしてたけど、さらに今年はパワーアップしてたね。どのシーンも針が振り切れるくらいの高いテンションで、やっぱり面白い。猿時さんが出てくると笑いがしまるというか、もう、立ってるだけで面白い。この劇の主人公はムカデとカゼキミみたいだけど、私は主人公はS太郎先輩だと思ってます。

少路勇介さん
小路ゆうすけ・小路ゆうすけ!?・小路ゆうすけ~・小路ゆうすけA・小路ゆうす子・小路のぼる・小路やっぱゆうすけ・小路ゆうすきん 7つ子役+妹のゆうすきんで合計8役。出てくるたんびに死んじゃうから衣装も変わるし、サックスは吹くし、レ・ミゼラブル風に絶唱するしで大活躍でした。お疲れ様の言葉しかありません、と夜代先生も言ってたけど、本当にお疲れ様でした。「小路家の家系図」はギザギザハートの子守唄っぽかったね。あとどの歌か忘れちゃったけど、岩崎良美の「タッチ」っぽい曲もあったな。

よーかいくん
地下之よーかい役。バカヅラだけど、トイレに行ったきり帰ってこないような宮殿のような家に住むチカちゃんのお兄ちゃんでものすっごい金持ちのボンボン。ロックミュージカルの中ではベース担当。ガンッガン弾いてました。

宮藤官九郎さん
カゼギミの父とグレッジ工業高校の学生、舘シロヒ役。カゼギミの父はエンジニアです。
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こんなの作ってます。

あと2億あったら手がコマネチ!となるらしいが、貧乏だからできないのであります。
ロックミュージカルのシーンではギター担当。官九郎さんってギター、うまいのな。2役やって、ギターも弾いて、すっごく忙しそうでした。「あまちゃん」であんなに有名になったのに、相変わらずココロはしけた青春を送る女子としゃべれない中学生みたいで、なんと素晴らしいのでしょう。ファミレスで夜代先生とピリカと歌を歌うシーンで一番楽しそうに歌っていた官九郎さん、もーぜったいシアターコクーンの乱に出てくる御方のような大家になってほしくないわっ。いつまでも不良にもなれず、女子としゃべれない、もてない中学生の心を忘れないでほしいわっ。

坂井真紀さん
聖ファイバーバード高校の先生、ウィスパー夜代役(ウィスパー夜用ではない)、グレッジ工業高校のヤンスー、漫画家のよもぎ役。いやもう、坂井さんは・・・・。こんなにすごい女優さんだとは存じ上げず、大変失礼致しました。「S太郎君、やめてあげて!彼、死んじゃう」と「夜になったら電話しな。ブラ買ってやるよ」の台詞にやたらはまってしまいました。巨乳のウィスパー夜代先生のセクシーぶりとヤンキーぶりはヤヌスの鏡みたいだったよ。そしてヤンスーの時のグレッジ工業高校の校歌を歌う坂井さんはぶっ飛んでた。最後に男の人喋ったのは6年前で、その人とはラインでつながってる漫画家よもぎのオタクぶりもいけてた。もー大好き。大好き―!

綾小路翔さん
宮益坂わたる、道玄坂クリステル、ブリキュアのオレンジ役。
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学ラン姿の芸能関係者は結構いるけれど。大川豊興業とか、
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コンドルズとか。でもあくまでも学ランは衣装な雰囲気である。
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がしかし気志團は本物臭がする。と思ったら本物のヤンキーだったんですね。

綾小路さん、舞台に出られるのは初めてだそうですが、堂々としたもの。「このボラギノール臭がする、うんこ臭い尻!」と皆川猿時さんにアドリブで台詞をふられても、全く笑わずにそのまま台詞を返していていらした。すごい集中力。クドカンは肩ふるわして笑ってたもん。皆川さんが台詞でタイマン張っても全く動じないのが本物のヤンキーだった。ヤンキーはタイマンに強いね。翔やんは当然のことながら歌がうまくて、ちょーかっちょよかった。やっぱ男はリーゼントに長ランだね!と思わせる説得力のある佇まい。(あら、私はあらぬ方向へ向かい始めているのか?)ゴキブリTONIGHTの色気のある歌いっぷり、まっしぐら!ブリキュアのブリオレンジのアイドルぶりもよかったです。「郵便局のはす向かい!昔プロント、今ローソン!」の台詞もよかった☆

この舞台、生で観られて本当によかった。
これから見る愛知の方っ!めっちゃめちゃ羨ましいですっ。全力で楽しんじゃってくださいっ!
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by mareemonte | 2014-01-23 21:45 | 劇やら映画やら
野田地図「MIWA」2013年10月
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1992年4月号のJJで野田さんと美輪さんの対談があった。野田さんは美輪さんと同じ格好をしての対談だった。あまりのビジュアルの衝撃に今でもそのページの二人の写真は覚えている。その対談は連載で、いつも野田さんは女装をしていて、いつも、誰に対しても面白くてシニカルで辛辣な事ばかり言っていてた。牧瀬里穂さんとか出てたと記憶している。当時の私は演劇に全く興味がなく、「なんでこの人、こんな恰好で面白くてきつくて酷いことばっか言ってるんだろう」と思いながら読んでいた。(読み物としては面白かったから。)ただ、美輪さんの時の対談は違った。どんな対談だったかよく覚えていないけれど、いつもの辛辣さはなくて、美輪さんに対しての尊敬が全面に出ていた。それが印象的だった。あの記事読みたいな。当時の私にそのJJ、捨てずにとっておきな、と言ってやりたい。

2014年1月13日追記 JJの野田さんのページ担当だった方から野田さんの1992年4月の記事を送って頂きました。本当に有難うございます!!!!!
「野田秀樹ミーハーの殿堂」という連載。そうだった、そうだったよ!懐かしい!

ミーハーの御誓文
1ミーハーの基本は、おばさん
2ミーハーはユーメーなものが好き
3好きだからこそ、ちょっといぢわる
4「ほんとのとこはどーなの?」が口癖
5家庭の話をしたがる
をコンセプトに野田さんがゲストと喋りまくるというものでした。おばちゃんの目線でのインタビューだから女装だったんだね。今、気が付いた。しかし改めて読むと本当にひどいことばっかり言ってるなー(笑)野田さんも酷いけど、美輪さんが酷い!(爆笑)今は皆に尊敬されて聖人君子みたいな印象だけれど。とても酷いのでここに書くのは自粛します(爆)そして何が驚くって20年以上前の記事なのに美輪さん、変わらない。外見が変わらない―。野田さんはものすごく若い。めちゃめちゃ若い。20年前のJJって前半は女子大生向けのファッション誌だったけど、後半の読み物記事ははっちゃけたものが沢山あったんですよね。宇宙飛行士の向井千秋さん(当時)の恐ろしいほどぶっちゃけたインタビューとか。すんごく面白かったんだよなー。

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2013年 10月12日ソワレ 東京芸術劇場

MIWA                                     宮沢りえ
赤絃 繋一郎(幼恋繋一郎、初恋繋一郎)               瑛太
マリア (継マリア、 継々マリア、赤絃まりあ、松葉杖の少女)   井上真央
最初の審判(通訳、ジュルルデ・ツーヤク、青年刑事)        小出恵介
ボーイ (ボーイ転じて先生、ギャルソン)                浦井健治
負け女(女給、チャチャチャ・マンボ)                   青木さやか
半・陰陽(父、日影陰気、日向陽気)                  池田成志
オスカワアイドル(MISHIMA)                      野田秀樹
安藤牛乳                                   古田新太

雲の上では明日地上に生れ落ちる命達が行列している。最初の審判(小出慶介)が踏み絵をさせている。男性器の踏み絵を踏めたら女。踏めなかったら男。男でもなく女でもないMIWA(宮沢りえ)が迷いながら自分の順番を待っている。女にしか見えない外見。でも踏み絵は、踏めない。踏み絵に躊躇していると、最初の審判に「お前のような化け物は世の中に生まれ降りてはいけない」と言われる。地上に降りてみたいMIWA。
そこへ別の化け物が鉄砲玉みたいに走りこんできた。勢いよくMIWAの手を絡めとり、二人は地へ落ちていく。MIWAの手をとったのはアンドロギュヌス(古田新太)。
アンドロギュヌスは男でもあり、女でもある。小さいMIWAはアンドロギュヌスと発音できない。安藤牛乳、と言い間違え、アンドロギュヌスは安藤牛乳と呼ばれるようになる。


地上。
長崎。
ポルトガル、ロシア、オランダ、イギリス、朝鮮、中国、さまざまな国の人々がそれぞれの容姿で、それぞれの暮らしを営んでいた。海を越えて渡ってくる食べ物、映画、音楽。カラフルな色で彩られた街。色をたっぷり含んだ街。長崎は色気のある街だった。そこに一人の赤ん坊がマリア(井上真央)の体を通してやってくる。男でもなく女でもないMIWAの魂と、男でもあり女でもあるアンドロギュヌスの魂は玉のように美しい肉に一緒に宿った。赤ん坊は男の子で、臣吾と名付けられた。ボーイ(浦井健治)や女給(青木さやか)が赤ん坊を見てあやしている。

MIWAは自宅で経営しているカフェや料亭、近所の女郎屋で男女の色恋、裏切り、別離などを間近に見ながら、映画を見て、音楽を聴いて、美術骨董屋で美しい某かを眺め、育っていった。母は二人目。MIWAを宿したマリアは早々と死に、継マリア(井上真央)に可愛がられてMIWAは成長する。

やがて戦争が始まる。
劇場にかかる演目が変わった。ボーイは白と黒の箱の中に納まってしまった。
MIWAは毎日背中に防空頭巾を背負い、絵を描いている。
美しく育ったMIWAは疎開で長崎に来ていた幼恋繋一郎(瑛太)に恋をした。

その日も絵を描いていた。
窓の外が光った。
こんないい天気の日に、と思うやいなや轟く爆音と地響き。たちこめる煙、爆風、空襲警報。涙、叫び、血、火ぶくれし、ずるむける皮膚、地面に落ちる肉塊、骨。郵便配達夫、医者、学生、主婦、子供、工員、街中に死の灰が降る。ボーイ転じて先生が生き残った人間の点呼をとる。幼恋繋一郎は呼んでも返事をしない。


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アメリカ人記者と通訳(小出恵介)にその日、その時間何が起こったかを聞かせるMIWA。
「この爆弾は天罰だ。この原爆のおかげで、戦争が終わった。今、この同じ時間にアメリカではパーティーが始まっている。原爆を投下し帰還した少佐が報告する。将軍が「それでこのパーティーに遅刻したんだな」と言う。会場は笑いに包まれる。」
アメリカ人記者の言葉を通訳がMIWAに伝える。
「その口からどんな言葉が出てるか、わかってる?」
通訳に尋ねるMIWA。
「自分は通訳しているだけだから」答える通訳。

帰ろうとするアメリカ人記者と通訳に
「僕はあの時十歳だった。僕の話はまだ終わらないんだ」
と立ちはだかるMIWA。16歳になっている。
「観客は一人いればいいだろう。もっと君の話が聞きたい」
MIWAに話をせがむオスカワアイドル(野田秀樹).
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焼野原で四葉のクローバーを探すMIWA。初恋繋一郎(瑛太)に渡すためだ。二人で映画に行く初恋繋一郎とMIWA(と安藤牛乳。)三人目の母、継々マリア(井上真央)は同性愛者のMIWAを疎んじて東京へうっちゃればいい、と言う。映画を見ながらうつむくMIWA。映画の中の愛は男と女だけのもの。男と男が愛し合ってはいけないのかと思い悩む。そして同じ肉に宿りながら沈黙を続けていた安藤牛乳が歌いだす。初恋繋一郎はその歌声を賛美する。
「君、絵より歌のほうがいいよ」
そして初恋繋一郎が向かった東京へMIWAも向かう。音楽学校に入る為に。

駅に迎えに来ている初恋繋一郎の腕には婚約者がぶらさがっていた。
「ここは長崎じゃないのよ。男同士は恋人同士とはいわない。その字は恋じゃない。変よ。東京では隠れていたほうがいいわよ。」

こういう時に限って心の中に安藤牛乳はいない。

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倫巴里。銀座にあるシャンソンの殿堂。MIWA(と安藤牛乳)は負け女(青木さやか)と連れ立ってオーディションを受けに行く。結果はMIWAだけ採用。倫巴里のオーナー、半・陰陽(池田成志)がMIWAの歌声を聞いてついに見つけた、と興奮している。
MIWAは倫巴里のスターとなり、常連の心を掴んだ。オスカワアイドルはMIWAの信棒者となり、店に通い詰めた。ここのシャンソン歌手はエリートばかりなんだからすごいよ、とギャルソン(浦井健治)は言った。

半・陰陽はこの店をMIWAに任せたい、という。自分は映画を撮りたいからと。主演は赤絃繋一郎(瑛太)。MIWAはまた繋一郎と恋に落ちていく。

倫巴里にギャルソンの家族が押し掛ける。
「この子は子供のころから四葉のクローバーなんかを集めて気色が悪かった」
「僕、気色が悪かったですか?」
「ずっとね」
首を吊るギャルソン。
ギャルソンの母親に激高する安藤牛乳。おまえの言葉が子供を殺したと叫んでいる。MIWAの中の安藤牛乳が暴れだす。やめろとMIWAが制しても安藤牛乳は怒りを止めない。

MIWAと赤絃繋一郎は深い仲になっていく。赤絃繋一郎は映画スターで、寝る間もないくらい忙しいけれどMIWAとの時間は作る。MIWAとの逢瀬が彼の安らぎだった。
でもその仲も引き裂かれることになる。赤絃繋一郎の妹がMIWAとの仲に嫉妬したのだ。兄妹の恋と男同士の恋。禁断の恋同志が一人の男を取り合う。MIWAは繋一郎をあきらめた。これでいいのよ、と。

ラジオが聞こえる。そのラジオは赤絃繋一郎が事故で死んだことを告げた。
歌えなくなるMIWA。
MIWAの楽屋を訪ねるオスカワアイドル。海の底へ潜れば失くした宝は見つかるという。

海の底へもぐると安藤牛乳がいた。
「どうしたの」
「なにが」
「もどってきた」
「臣吾、世話になったね。ありがたかったばい。このCDもらっていくね」

海からあがり、ヨイトマケの唄を歌うMIWA。一度海に沈んだMIWAは海面にあがり、歌い、また喝采を浴びるようになる。楽屋を訪れるMISHIMA(野田秀樹)

「歌声が戻りましたね」
「おかげさまで、オスカワさん」
「いえ、僕は三島由紀夫と言います。今まで僕の体に住んでいたアンドロギュヌスがお世話になりました」
「あなたのアンドロギュヌス?」
「オスカワアイドルは僕の中の化け物だったのです。でも、さようならを言いに来ました。」
「あなたのアンドロギュヌス、どこに行ったんです?」
「これから市ヶ谷の方に」

MISHIMAは自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺をした。

倫巴里。倫巴里は閉じることとなった。
「倫巴里の役目は終わったから」というありきたりの答えを用意してたんだけどね。じゃね。と半・陰陽が挨拶する。
楽屋で支度をするMIWA。
青年刑事(小出恵介)が安藤牛乳屋の倅を見つけた。路上で死んでいたので、亡骸を引き取ってください、とMIWAに告げにきた。
「安藤牛乳は誰を殺めたの」
「母親だ。男を愛していることをなじられたのさ」

倫巴里で歌う最後の時。
愛するものが目の前でどんどん死んでいく。もう立ち上がれない、と言うMIWA。
そこに負け女が出番の時間だと告げに来る。
「美輪さんて。生きていてつらいことなんてなかったでしょう?」
「あるわけないでしょう。」

舞台に向かうMIWA。
愛の賛歌。
喝采。
幕が開く。

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いつも野田地図の芝居は「こここ、この舞台は理解出来るんだろうか」と不安になりながら見ているですが、今回の野田地図はとても分かりやすい芝居でした。美輪さんの出生から美輪明宏になるまでが時系列を追った作りになっていたからかもしれません。パンフレットには出鱈目な物語とあったけれど、それほど出鱈目でもなかったし。

配役はMIWAの宮沢りえさんと安藤牛乳の古田新太さん以外は皆、複数の役についています。場所と時間を変えながら、名前と肉体を変えながら同じ魂が何度も蘇る。美輪さんがご自身を天草四郎の生まれ変わりと公言されているからこのような設定になったのでしょうか。この全体を覆う輪廻転生の世界観は色鮮やかな幻のようでありました。

宮沢りえさんは美しかったです。人の心を惑わせるまでの美しさを持つMIWAはりえちゃんにぴったりの役。りえちゃん自身が類まれな美貌だしね。がしかし、同じ肉体に宿るもう一人の魂、アンドロギュヌスの古田新太がすごかった。しょっぱな登場から古田さん、金髪で奇抜な衣装の今の美輪さんそのものなのです。もう、それだけで面白いわけです。その上、声がいいし、動きもピシッと決まる。お酒飲み過ぎていかにも不摂生そうな顔してんのに、かっこいいとはお世辞にも言えないのに、なんだかとてもやたら目立つ。それで、どうしても古田新太を目で追ってしまう。オーラというかパワーというか、なんかそのようなよく分からない見えない何かが古田さんにはあるんだよね。りえちゃんの演技、貫録もあって大女優の風格もあって、本当によかったのに、古田さんなんだよな・・・。

オスカワアイドルというアンドロギュヌスを同じ肉体に宿している三島由紀夫は野田秀樹さん。変な額縁さげて登場していかにも変人なのだが、MIWAを精神的に支える著名な作家、という役どころ。三島さんと美輪さんの交友については美輪さんご自身がいろいろなところで語られているし、これはきっとそのままの話なんだろうな。三島さんは美輪さんの歌と、容姿と、美輪さんご自身をきっと深く愛していたのだろう。
昔、某女優のご母堂と食事をしたことがある。その方は昔市ヶ谷に住んでいて、三島さんの生家のわりと近所だったそうだ。夏の旅行もいつも同じ時期に同じ伊豆の今井浜東急。三島さんは早朝からホテルの敷地で剣道の竹刀を振っていて「なんで平岡さんとこのぼっちゃんは剣道やってるのかしらね。海に来たんなら泳げばいいのに。」と噂の的となっていたそうだ。その頃の三島さんはなまっちろくてひょろひょろしていて、折れそうな子供だったらしい。自分の中のアンドロギュヌスを飼い慣らせなかったオスカワアイドルは市ヶ谷で割腹自殺をしてしまった。三島由紀夫に美輪明宏のような天性の美貌が備わっていたとしたら、運命は変わっていたのだろうか。

倫巴里の経営者、半・陰陽の池田成志さんもよかったなー。怪しいおっさんまるだしで(ほめてます)今回の芝居は池田さん然り古田さん然り、熟練したおっさん俳優の力技がすごかったです。若手もみな、頑張っていたし、よかったのだが、おっさん俳優がなにしろよかった。これぞ舞台の面白さだよねえ、ルックスじゃないところが(ほめてます)

がしかし、この私の感想は舞台半分より後ろで観た人間だからこそらしい。メタルビーズ教室でなんと一番前の席で観劇された方がいらして、その方曰く「りえちゃんは顔が崩れない。ずっときれいなままで嘘みたいだった。古田さんは…汗が・・・・。顔がどんどん・・・・・」とのこと。舞台は見る席でだいぶ印象が違うみたいですねー。

そんな訳でMIWA、良かったです。さすが野田さん。次回作は2015年なんですね。2014年は野田地図見られないのかあ。嗚呼。次回作、首を長くしてお待ちしております。
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by mareemonte | 2014-01-13 16:21 | 劇やら映画やら
おかずの素8を使い切る&シダの群れ 港の女編
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週末のこと。
シダの群れのマチネを観に行くので、夫と子供に昼ご飯を作る。
おかずの素8で作った揚げ出し茄子を使い切りたくて、茄子と豚しゃぶ、大根おろしと白髪ねぎのサラダを作る。大根おろしと白髪ねぎはたっぷりがよろし。
他、和風ハンバーグピーマンのせ(前の日のハンバーグの種が残っていて、小さいものしか作れなかったので、つくね風に仕上げました)、きゅうりとトマトとベーコンのサラダ、茶碗蒸し。写真にはないけれど、白米。

「じゃー食べといてください!私は行くので!」
と言い放ち、一人渋谷へすっ飛ぶ主婦。

シアターコクーンで14時からのマチネ。
出演者は阿部サダヲ、小泉今日子、小林薫、豊原功補、などなど豪華なラインナップ。
俳優は誰もすごくよかった。
なのに!
あんまり面白くなかったんです!
どうもこの作品は続きものらしいのです。港の女編はシダの群れシリーズの3作品目で(それを知らずにチケットをとった私が馬鹿なのか)1作品目、2作品目を見ていないと分からない部分があるみたい・・・(いや、それすらもよく分からない)しかも4作品目もあるのか?的な中途半端な幕切れ感。俳優が誰しも素晴らしいのに、こんな事ってあるんだ、と衝撃さえ受けましたです。誰だ責任者。小泉今日子は色っぽくてきっぷがいい姐さんで、素晴らしかったぞ。謝れ。渚のハイカラ人魚に謝れ。


俳優は皆素晴らしかった。客席も埋まっていた。(あれだけの俳優が集まっていたら、ネームバリューだけで人が呼べるよね)きっと興行的には成功するんだろう。でも作品的成功なのか、といったらどうなんですかね?いくら続きものの作品だったとしても、私のように何も知らずに初めて見る客もいると思うしさ。1話毎に完結した作品であって、その上で話が続いていくんならまだしも。こちとら家族に昼ご飯マッハで作って、自分はコンビニで買ったおにぎり食べて、なんとかかんとか時間作って見てるんだぜ。おいこら主婦なめんな。何ともモヤモヤした気持ちを抱えながら、どら焼きを買って帰る。





今年はおせち料理は作らないんですが、毎年買っているので今年も買います。
「きょうの料理」のおせち特集。
毎年ちょっとずつ切り口が違っていて、面白んだよね。
この本を買うとああ、今年も年の瀬が近づいてきたなあ、と実感します。
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by mareemonte | 2013-11-28 09:21 | 劇やら映画やら
おのれナポレオン 天海版、宮沢版観劇感想
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舞台中央には椅子、そこにスポットライト。
客電が落とされ、アントン・マルキ(今井朋彦)の独白から舞台は始まる。

ナポレオンが死んで20年。その本当の死因を探している医学生ビクトール(医学生と話している設定であるが、医学生役はいない)がアントンマルキを訪ねていく。
アントンマルキはセントヘレナ島でナポレオンの主治医をしていた。
セントヘレナ島へ幽閉されたナポレオンはヒ素で毒殺されたという噂があるが、胃癌が死因の直接的なものだったと。亡くなる何か月前からどんどん体重が落ちていって、それはスキルス性胃癌の症状そのものだったと。そう、確かにナポレオンは便秘だった。これはヒ素に体が毒されたものの特徴であるが、胃癌で死んだのだ。
今ではしがない町医者だが、何か力になれることがあればいつでも力になりますよ、と医学生にお茶を勧める。

医学生は次にシャルル・モントロンの元へ話を聞きに行く。
やさぐれ、よれよれの服を着ているモントロン(山本耕史)彼はセントヘレナ島へ幽閉されたナポレオンに最後まで忠誠を誓い、ナポレオンからの莫大な遺産を手にした伯爵だった。しかし、賭博好きで、その遺産はもう今はなく、この頃は知り合いの女に世話になっている。ジゴロである。
モントロンはナポレオンの最後を看取った唯一の人間だ。ナポレオンを毒殺?まさか。確かにセントヘレナで生活していた頃、自分の妻のアルヴィーヌがナポレオンと恋仲になり、ナポレオンの子供を身ごもったのは確かだが、そんなこと恨んじゃいない。むしろアルヴィーヌを差し出したのはこの俺なんだからな。まあ、ワインでもどうですか。

そのモントロンの妻だったアルヴィーヌ(天海祐希)は今はパリで居酒屋を切り盛りする女将である。居酒屋はそこそこ流行っているらしい。居酒屋の女主人はまずワインを勧める。ジュブレ・シャンベルタン。ナポレオンが愛したワイン。
はすっぱで美しいアルヴィーヌはナポレオンとの思い出を語る。そう、私はナポレオンを愛していた。ナポレオンの子供を産んだ。名前はジョセフィーヌ。ジョセフィーヌは短い命だった。
「あなた、あの名前をするにもいまわしいイギリス人の所へは行ったの?あの、ナポレオンを愚弄したあの男の所へ」

「ようこそおいでくださいました。最近では訪ねて来る人もいなくてね。」
イギリス人でナポレオンを監督していたハドソン・ロウ(内野聖陽)はパリで暮らしている。
「ウェリントン将軍、ちょっと外に出ていてくれ、お客様と話があるからね」
(たぶんネコ)を「いいこだ~」と言いながら外に放し、
「今日は時間がありますか?ゆっくりしてしていってください。さあ、お茶を」
と勧めながら話しを始める。
「セントヘレナ。あの忌まわしき島。」

ハドソンのガウンが肩から落ち、20年前に話はさかのぼる。

ナポレオンはワーテルローの戦いで敗戦し、イギリス軍艦に投降した。
ナポレオンを監視するのはセントヘレナ総督ハドソン・ロウ。

ナポレオンとハドソン・ロウの初めての対面の日。
待てど暮らせどナポレオンは来ない。イライラするハドソン・ロウ。
とそこへ突然ナポレオンが来るという。
「皇帝陛下のおなーりー!」
志村けんみたいなモモヒキ姿(いや、モモヒキではないけどさ。モモヒキにしか見えん)の
ナポレオン(野田秀樹)が
「急げー!潮が満ちるー!」
と言いながら走り去っていく。
その後を侍従のマルシャン(浅利陽介)がバケツをもっておいかける。

「この辺りの海岸ではアサリが沢山とれますのよ」
「あの方はああいうお方です」
憤慨するハドソン・ロウにアルヴィーヌやアントンマルキが話かける。
「今日はもうお帰りください」
アルヴィーヌに冷たく言い放たれたハドソン・ロウは怒りに震える。

ハドソン・ロウは徹底的にナポレオンの生活を締め付けることにした。まずはロングウッドの屋敷には柵がつけられた

「柵どうにかしろ!じゃなかったら部屋からは、でな~い!」
甲高い声でものすごい勢いでハドソン・ロウに抗議するナポレオン。
ハドソン・ロウは対抗する。
「あんたひとりにイギリスがいくら使ってると思ってるんだ、イギリス政府は、この島に何千の兵士を送り込んであなたを監視している。海上でも10隻の監視船が島を巡回している。年間四十万ポンド(ここうろ覚え。たしか四十万ポンドだったですよね?)もあなた一人の警護に使っているんだ。お荷物なんだよ!」
「今のとこ、もう一度言って。何十万ポンド使ってるって?」
自分が沢山のお金を使って守ってもらっていることに快感を感じるナポレオン。
その姿を見てまたイラつくハドソン・ロウ。
柵は取り外さない。
ナポレオンはマルシャンに「これじゃ自由を奪われた鳥にすぎない」
とこぼす。

ハドソン・ロウはさらにナポレオンの生活を締め上げる。手紙はすべて開封し、中を検閲。モントロン伯爵にも今のナポレオンの生活に対して苦言を呈する。パリにいた頃のように盛大なパーティーをするのかいかがなものか。そんなに金を使うなら自分達で稼いだらどうだ。
こんな小さな島でどうやって金を稼ぐのか、とハドソン・ロウに突っかかるモントロン。
家財を売ればいいじゃないか、村人に、と言うハドソン・ロウ。
そしてかつてヴェルサイユ宮殿で使われていた食器などをロングウッドの屋敷で二束三文で売り始める。ハドソン・ロウはでもまだプライドがあるんだな、銀食器に刻まれたボナパルトの刻印だけは必死に削っている、と高笑いする。

奈落の階段をかけあがるナポレオンとアルヴィーヌ。

ナポレオンの日常を紹介する。まず起床。夜が明けると乗馬で散歩をし、それから朝食。熱い風呂。それから肉体訓練。口述筆記をしたり、肉体訓練。お昼を食べてまた熱い風呂。そして肉体訓練。ここまででなんとまだ午後2時。夕食は8時。食べるのが早いのは、あまり噛んでいなかったようで、その後はピアノを聞いたり、モリエールを読んだり、口述筆記など。とても規則正しい生活を送っていた。(うー、ここもうろ覚えです・・とにかく風呂は2回で肉体訓練が3回なのは覚えていた)

ハドソン・ロウは相変わらずナポレオンを皇帝とは呼ばなかった。必ずボナパルト将軍と呼ぶ。当時のフランスでは苗字でなく、名前で呼ばれるのは皇帝のみ。だからこそハドソン・ロウはナポレオンをボナパルト将軍と呼び続けた。フランス帝政の皇帝ナポレオン1世であるナポレオンであるにもかかわらず。ナポレオン皇帝陛下と呼ばせたいナポレオンとボナパルト将軍と呼び続けたいハドソン・ロウ。それならチェスで勝負をつければいいいではありませんか、とアントンマルキが提示する。

かくしてチェスの戦いが始まる。盤上とはいえ、軍人同志の戦いだ。熟考するハドソン・ロウに対して駒の進め方の早いナポレオン。ハドソン・ロウはわざとナポレオンをかく乱させる為にワーテルローの戦いでなぜ負けたかを聞こうとする。なぜプロイセン軍に到着の時間を与えてしまったのかと。ナポレオンは答える。チェスと違って本物の戦いには天候がある。包囲に必要な援軍を率いてくるはずだったグルーシーの伝令の遅延がワーテルローの戦いでの敗因だった。君は私を怒らせようとしているみたいだが、この話はもう終わりだ。私はこのような時にでも盤上に目を配っている。君がヴィショップを動かして、クイーンをとったとしても(ここ、もっと野田さんのチェスへの台詞があるんだけれど、覚えきれなかった)君のキングはチェックメイトになるんだ。
圧倒的に強いナポレオンに対し「今、ビショップを触ってまた戻した、それはタッチアンドムーブで反則だ。」
と絶対に負けを認めないハドソン・ロウ。
そしてナポレオンはハドソン・ロウに言う。
「この戦いがチェスでよかったよ。本当の戦いなら君はもういない。戦場に反則負けなどないんだよ、ミスター・ロウ。」

ロングウッドで給仕長をしていたチプリアーニが突然急死した。ヒ素が入ったワインを飲んだのだ。誰がかナポレオンを暗殺しようとしている。いったい誰だ。セントヘレナまで一緒についてきた腹心であるはずのラスカーズ、グルーゴー、ベルトランが次々とナポレオンの前から姿を消していく。お抱え医者のアントンマルキまでもだ。アントンマルキはマルシャンに男色を迫ったという理由で屋敷への立ち入りを一時禁止されてしまった。ワインにヒ素をいれられるのは誰か。ナポレオンの耳にかつての腹心の部下の悪い噂を入れられるのは唯一の人物だ。そう、シャルル・、モントロン。

「ヒ素を入れたのは俺じゃない」
「じゃあ、誰が?」

ナポレオンを殺そうとしていたのは、アルヴィーヌだった。ナポレオンの子供を身ごもり、幸せなアルヴィーヌ。フラメンコまで踊っちゃう。しかし彼女はナポレオンにフランスから手紙が届き、セントヘレナ脱出計画が実現しそうだという話を聞く。パリへ帰ったら妃にしてやる、とナポレオンは言った。でもわかっていた。パリに行けば自分は大勢の女の一人になってしまうことを。それなら殺してしまう方がましだ。

でもその計画は給仕長チプリアーニとその愛人が死ぬ事で未遂に終わった。アルヴィーヌはセントヘレナから追放され、パリに戻される。

ナポレオンが病に臥せている。容体は良くない。胃が苦しいという。
「吐酒石をレモネードに溶かして飲んでみましょう」
とアントンマルキ。吐酒石は胃の中のものが吐き出され、一時的にでも楽になるからと。

レモネードに溶かした吐酒石をモントロンが与える役となる。
こんな日がこようとは。ようやくナポレオンに復讐出来るのだ。

吐酒石入りのレモネードを所望するナポレオンにモントロンが言う。
「俺の事を覚えていないのか」
全く覚えていないナポレオン。
シャルル・モントロンの過去の話が始まる。

初めての出会いは9歳の時。1792年の夏だった。コルシカ島に赴任していたナポレオンはシャルルの家庭教師をした。因数分解を教え、これは戦争にも役立つ、X、Yに軍隊をあてはめるとどのような問題点があるかが浮上してくる、という話を機関銃のような早口で9歳児のシャルルに言って聞かせた。全く分からなかった。天才の考える事は理解出来なかった。でも父親以外に初めて出会った大人の男で、シャルルはナポレオンに大いなる憧れを抱いた。

次の出会いは17歳の時。シャルルはモントロン中尉となり、ナポレオンと謁見した。その頃のナポレオンは戦争に連戦連勝、フランス軍はイタリア北部へ領土を広げ、有名な軍人となっていた。
「私を覚えていますか」
と聞いたところでナポレオンが覚えているはずもない。
「取り入ろうとしても駄目だ。戦で勝てばいくらでも取り立ててやる」

しかし取りたてられることはなかった。美人だが評判のよくない女、アルヴィーヌとナポレオンの許可なく結婚したからである。上司に許可なく結婚を決めたことに怒った、とナポレオンは言っているが、本当のところ、アルヴィーヌを気に入っていたナポレオンがモントロンに対して怒りを感じただけだったのだ。モントロン夫婦は追放された。

でも失脚したナポレオンの前に現れたのはモントロン夫婦だった。
どんどん臣下が消えていく中、セントヘレナまでついてくるというモントロン夫婦。それがナポレオンの財産を夫婦で狙っていたからだとしても。

ナポレオンの心にはモントロンは記憶されておらず、そのことについて怒るモントロン。「めんどくせー男だなー!」とナポレオンが叫ぶも「忘れ去られた人間の気持ちを考えろ!」と苦しむナポレオンに怒りをぶつけるモントロン。ナポレオンは謝罪し、すべての財産をモントロンに、と遺言状を残し、それと引き換えに吐酒石入りのレモネードを飲むのだった。

朝だ。
アントンマルキとハドソン・ロウがナポレオンを見にくる。死んでいるかのように眠っている。
ハドソン・ロウは昔セントヘレナという島でナポレオンとチェスの試合をしたのだ、と将来自慢する、と言っている。ヴィショップを動かして、鮮やかな捨て駒、そしてチェックメイトまでの経緯を楽しそうに語る。「そうなんだ~」とむっくり起き上がるナポレオン。
「負けを認めたならナポレオン皇帝陛下と呼んでもらおうか」
突然の事態に思わずナポレオンの首をしめようとするハドソン・ロウ。
「何やってるんだ!」と飛びかかるモントロン。
「い、いや、首のサイズを測っていたんだ。ネクタイを送ろうと思って。赤…ピンク?」
と言いながら慌ててハドソン・ロウは部屋から出ていく。

その夜あっけなくナポレオンは死んでしまった。
最期の言葉「部隊~、さがれ~」
と言いながら。

ナポレオンの亡骸を毛布にかぶせ、ハドソン・ロウ、アントンマルキ、モントロンがナポレオンの死について語る。死亡解剖が必要だが、それはしないほうがいい。アントンマルキが間違った処方をし、それをモントロンが飲ませてしまった。ハドソン・ロウは監督の立場として一連の行為をもみ消すことにした。解剖はする。ただしもう所見は出来ている。


医学生、ビクトールは最後にマルシャンを訪ねる。マルシャンはナポレオンの推薦状でパリに戻ってからは会計監査院で働いていて、なかなかいい暮らしぶりのようだ。礼儀正しくビクトールに「カフェオレをどうぞ」と勧める。

マルシャンは言った。
いつかあなたのような人が私の元を訪ねることは分かっていました。
ですから本当の話をしましょう、とナポレオンの死因の真相を語り出す。

ナポレオンはハドソン・ロウに行動を制限され、自由を奪われた。自由を奪われた鳥にしか過ぎぬのなら、世は死ぬことにした。一瞬の死の方が世に宣告された緩慢な死よりはるかにましだ。しかし世は自殺はしない。世にふさわしい死を与えてくれ。

そして自分を暗殺する計画が始まったのだった。

全てを聞いたビクトールはアントンマルキの所でお茶を、モントロンの所でワインを、アルヴィーヌの店でワインを、ハドソン・ロウの家でお茶を飲んだ。そしてマルシャンの家ではカフェオレを。そう、セントヘレナでアルヴィーヌが使ったヒ素は五等分され、それぞれが持っていたのだった。こうしてナポレオンの名誉は守られた。

ビクトールは始末され、久しぶりに集まった5人は「まさか20年後にまた集まるとは」と言うが、マルシャンはそれを否定する。
「こうやって皆さんが集まることも計画に入っていました。どうせろくな生活をしていないだろうから、はい、これは今日のお駄賃です。」
とナポレオンが用意していたお駄賃をそれぞれに渡す。

そうだったのだ、ナポレオンの名誉を守るために全ての人は駒だった。クイーン、ルーク、ナイト、ビショップ、ポーン。すべてナポレオンが動かす駒だったのだ。

お駄賃をもらってアントンマルキ、アルヴィーヌ、モントロンが帰っていく。
ハドソン・ロウだけはお駄賃を受け取ろうとしない。そこでマルシャンがナポレオンがハドソン・ロウへの言葉を告げる。
「あなたなら名誉を守ってくれると思った。人生の最後にあなたのような人間に出会えた事を神に感謝している。」
ハドソン・ロウは
「有難うございます、ナポレオン皇帝陛下」とお礼を言って去るのだった。

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ナポレオンは野田秀樹さん。甲高い声でテンション高くて、エキセントリックで、せっかち。わがままでプライドが高くて、女性に対して博愛主義で、頭がとんでもなくよくて、非常に策士。素早い動きと高い身体能力が人間ぽくなくて妖精みたいでした。ナポレオン自身、背が小さくてカリスマ性があって、という人だったそうで、野田さん、もともと似てる?

ハドソン・ロウは内野聖陽さん。破天荒でしっちゃかめっちゃかの天才ナポレオンに対して四角四面で融通の利かないハドソン・ロウ。嫌な奴なようでいて、人間味があって、私はとーっても好きでした。きっとお上手なんだろうな、と思っていたけれど、本当に上手だったです。期待通り。

シャルル・モントロンは山本耕史さん。この方の舞台を見るの初めてですが、お上手なのもそうですが、美しいのですねー。華がある。モントロン伯爵時代は金のモールのついた青い軍服を着ているのですが、オスカルみだいだった。

アントンマルキは今井朋彦さん。すごい早口の台詞も小さな声の台詞も隅々にまで響く素晴らしい声。飄々とした演技も安定のさすがさ。宮沢版では台詞が多くなっていました。でも余裕に見えた。(きっと大変だったとは思うけど)職人芸を見た感。

マルシャンは浅利陽介さん。この方、若いのにうまかったなー、滑舌もよくて。小道具を運んだり、黒子としても活躍。前半はほぼ台詞なく、最後の最後で狂言まわし的な役回り。

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そしてアルヴィーヌ。
天海さん版と宮沢さん版と合計2回観劇しました。

このお芝居の主役は野田さんのナポレオン。ナポレオンは癇癪持ちで小さい男、と伝わっていますが、三谷さんはきっとそのイメージでナポレオンを作りたかったんだと思う。小さくて、せっかちで、エキセントリックで、常人では考えられないような事を考える天才。そのナポレオンのキャラクターを際立たせる為にも他の登場人物は背が高くなくてはならなかった。実際、内野さん、山本さん、今井さん男性陣は同じくらいの長身。(浅利さんは野田さんと揃えたっぽい)女性も然り。天海さんは背が172センチで、野田さんと並ぶと、大きい。この背の高さも天海さんである理由の一つだったと思うんです。で、天海さんを役に据えて、あて書きをしたと思うのね(全くの妄想だけどさ)そうすると、アルヴィーヌははすっぱで勢いがあって、キレがあって、でも好きな人の前では愛らしく、可愛く、キラキラ夢見る乙女、という天海アルヴィーヌが完成形だったと思うんだよなあ。

秀でた女優さんは2日できっと台本を覚えられる。大竹しのぶさんも、深津絵里さんも、戸田恵子さんも松たか子さんも。三谷さんの舞台にゆかりのある女優さんで2日で台本を覚えられる方は沢山いらっしゃると思う。でもなにしろ背だ。背がある程度ないと物語のプロットが崩れてしまう。宮沢さんも167センチあるそうだけれど、天海さんに比べれば小さくて、だから、モントロン夫婦が追放されるシーンで天海アルヴィーヌがナポレオンにすがるところで「でけーな!」と突っ込みが入り、アルヴィーヌが「あっちが小さいのよね」とモントロンに話しかける、というシーンなどはなくなってしまった。(宮沢アルヴィーヌがすがるシーンでは「これ見よがしに胸を強調するな」とナポレオンが言って、モントロンが「確かにすごい」と言う。)

当然といえば当然だけれど、アルヴィーヌの演出もだいぶ違っていた。ナポレオンの一日を紹介するシーンは天海アルヴィーヌだとコミカルに、かつ元気に紹介。ナポレオンが肉体訓練をするシーンは腹筋なんだけど、1日の3回目の腹筋シーンで、ナポレオンがためらっていると「にーくたーいくーんれーん!」とほぼ脅しのような紹介でナポレオンに腹筋させる。このシーンは宮沢アルヴィーヌだと本を読みながらの紹介で、割とさらっと終わってしまうのだった。天海版だとかなり笑いが起きるシーンなんだけど。天海版ではこのシーンがお気に入りだったから、宮沢版では「ああ、そうかあ・・・」と思った。

ナポレオンとアルヴィーヌがフラメンコを踊るシーンで、短いけどアルヴィーヌがソロを踊るシーンがあって、そらもうかっこよすぎて、さすが元ヅカトップ過ぎて、華がありすぎて「ゆうきさまーっ!」と天海アルヴィーヌでは叫びそうになってしまったが、宮沢アルヴィーヌはフラメンコシーンは手の動きだけ。
「ボンボヤージュ!」のシーンも天海アルヴィーヌは笑いが巻き起こっていたけれど、宮沢アルヴィーヌでは通り過ぎてしまったのであった。

でも宮沢版ではナポレオンにモリエールの劇中劇をアルヴィーヌとモントロンが演じるというシーンで、
アルヴィーヌ「練習しましょう!セリフは入ってるの?」 
モントロン「お前に言われたかねーよ!」 
 
「一日や二日でできるようになるのか?!」 
「いっぱいいっぱいですっ!」

この自虐的台詞シーンは大いに笑ってしまった。黒い笑いは必要だね。ふ。

天海さんは一流女優で、その人が綿密に練習を重ねてきて、35公演もやった舞台を2日の練習で公演数も4回であった宮沢さんがいかに天才であろうと、北島マヤよりすごかったとしても、天海さんを凌駕することにはならないと思うんだよね。もちろん宮沢さんの演技もいいのです。いいのですよ、130回くらいある台詞を飛ぶことなく美しい声で仕上がっているのだから。でもそんな事、誰が言わなくても宮沢さんが一番よく分かっていると思うのだ。それが分かりすぎているほど分かった上で、興行を潰していろいろな方面に損害が出ないように、何か月も前から楽しみにしていた演劇ファンの為に難しい局面を引き受けてくださったのだと思う。宮沢さん、本当に有難うございました。劇が再開されて本当に嬉しかったです。

今回は降板代役劇が大きな話題になってしまったけれど、劇の純粋な感想はなにしろ野田さん。役者としての野田さんが素晴らしいのでありました。内野ハドソンも山本モントロンも今井アントンも浅利マルシャンもえらい上手なんだけど、野田さんの存在感、はんぱねー。役者はうまい人が揃うと劇って本当に面白いね。

三谷さんの舞台、正直自分の中では当たりはずれがあるんですが、この舞台は大変面白かったです大当たりでした。私の中ではおのれナポレオンとペッジ・バートンが双璧でございます。おのれナポレオンという題名、 L'honneur de Napoléonにかかっているんですね。ナポレオンの誇り。確かに最後の最後まで誇り高きナポレオンであった。三谷さん、面白い劇を有難うございました。

東京芸術劇場HPより

野田秀樹 コメント
3ステージ中止となった為に、ご観劇予定であったお客様には、心よりお詫び申し上げます。
天海祐希さんには、まだまだこれから長い役者人生がありますので、何卒みなさまご理解下さいませ。
そして、宮沢りえさんの、わずか二日間での稽古で舞台に立つことを英断してくれた男らしさに感謝します。宮沢さんのおかげで上演できることになった残り4ステージに魂を込めて演じさせていただきます。

三谷幸喜 コメント
僕に出来ることは何だろうか、と考えました。
天海さんと、必ずまた舞台をやること。
宮沢さんに、今回のお礼に芝居を書くこと。
ご迷惑を掛けたお客さまに喜んで頂ける作品にすること。
心筋梗塞にならないこと。それくらいしか思いつきません。


これを読んで、もしこの二人がサラリーマンだったら、と考えた。
野田さんは才能豊かな天才だけれど、営業とかもできて、本社のお偉いさんとなりそうな感じ。(いや、絶対なるでしょう)三谷さんは次々にヒット商品を作るけど、本人希望で本社勤務にはならなくて、研究所に勤務する伝説の社員、という感じがします、はい。


山本耕史、休養で会見急きょ欠席 りえ代役舞台で“3日3晩寝ず”の状態
オリコン 5月13日(月)15時43分配信

俳優・山本耕史が13日、出席を予定していたNHKドラマ『激流~私を憶えていますか?~』(6月25日 午後10:00)の記者取材会を欠席した。山本は、女優・天海祐希が軽度の心筋梗塞のため降板し、宮沢りえが代役を務めた舞台『おのれナポレオン』にきのう12日まで出演。同局によると、宮沢との共演シーンが多く、3日3晩寝ていない状態だったため、今後の撮影を考慮し大事をとって休養したという。


5月13日 追記
山本さん・・・・(涙)
宮沢アルヴィーヌの時、吐酒石入りレモネードをナポレオンに渡す時、くるくるまわったり、空中に投げた液体をキャッチしたり、と山本モントロン大活躍だったシーンがありました。あそこ、天海アルヴィーヌの時はあんなに激しくなかったよな。台詞も増えていたようだし・・・。
今井アントンマルキも「あれ?こんなに喋ってたっけ?」と思ったシーンがあったし、フラメンコを踊るシーンは野田ナポレオンがめちゃめちゃ踊り狂っていた。男優さんも相当変更があったんですね・・。舞台は生ものだから大変なんだな・・・。撮り直しなんてないもんね。
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by mareemonte | 2013-05-12 19:22 | 劇やら映画やら
三谷幸喜演出浅丘ルリ子主演 「桜の園」
2012年6月

渋谷 パルコ劇場 ソワレ

浅丘ルリ子 市川しんぺー 神野三鈴 大和田美帆 藤井隆 青木さやか
瀬戸カトリーヌ 高木渉 迫田孝也 阿南健治 藤木孝 江幡高志

作 アントン・チェーホフ
演出 三谷幸喜

「櫻の園」は1990年に映画化された吉田秋生の漫画。毎年創立記念祭に「桜の園」を演じる女子高の文化祭の1日を描いたもの。浅丘ルリ子が誰の役やるんだべ!女子高生に扮装させるなんて三谷さんも思いきったことするねー、これは見なくちゃ!と張り切ってチケット取ったらチェーホフの桜の園だった。そらそうだよね(ちと残念)私と同じ間違いをした人っているんだろうか。やった、吉田秋生の櫻の園!げ、違った、チェーホフ!みたいな。

パルコ劇場の入り口にはさまざまな花が。三谷さんと浅丘ルリ子さんへの花が多かったみたい。あと藤井隆さんへの花も。松田聖子さんから花が届いていたのはNHKで対談していたからかな。花は林真理子さんから浅丘ルリ子さんへのお花が素敵だった。あとSMAPの草なぎさんから三谷さん宛てに届いていた花は不思議な形。何のお花だったんだろう。

ちょっと早目に席についたら前説が始まった。前説は青木さやか。
AKBのヘビーローテーションの替え歌を歌いながらこれからの劇の簡単な解説。これは喜劇です、とやたら強調していた。青木さやかは顔が小さくなくて且つ派手な顔だし、滑舌もいいので、舞台向きだなーと思いました。(芸能人は顔が小さいばかりがいいとは思えない。舞台の人って顔が大きい方が表情が見やすくて絶対にいいと思ってます、私)

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舞台はロシア革命の前夜。屋敷の使用人であるドゥニャーシャ(瀬戸カトリーヌ)とエピホードフ(高木渉)が夜明けに働いている。これから主が館に戻ってくるのだ。不在の館の主の代わりにしっかりと家を切り盛りするワーリャ(神野三鈴)も準備に余念がない。

ラネーフスカヤ夫人(浅丘ルリ子)とその娘アーニャ(大和田美帆)がパリから到着した。パリでは愛人と暮らしていたが、生活は破綻。久しぶりの自分の家に喜ぶラネーフスカヤ夫人。金をばらまきながら放蕩な生活していていたが、とうとう資金が底をつき、先祖代々が守ってきた桜の園と館を売りに出さないといけないようになった。
「この土地を別荘にしましょう」
助言する商人ロパーヒン(市川しんぺー)。
ロパーヒンは農奴出身。よく親父にぶんなぐられていたが、それをかばってくれたのがラネーフスカヤ夫人だった。その恩義を今でも感じているロパーヒンは桜の園を守ろうと尽力しようとするけれど、ラネーフスカヤ夫人は忠告に耳を貸さないし、むしろロパーヒンを無礼者よばわりする有り様である。ラネーフスカヤの弟ガーエフ(藤木孝)もたかが農奴の分際で、とロパーヒンを軽んじ、話を聞くつもりはさらさらない。


舞踏会が開かれる。パリから連れてきたアーニャの家庭教師シャルロッタ(青木さやか)が手品を見せている。
お金もないのに、なぜこんなことを、と頭を抱えるワーリャ。楽団がお金を払ってください、とワーリャに詰め寄るが、お金が払えないワーリャは館の中を逃げ回っていた。

舞踏会の出席者にかつての豪勢な肩書の持ち主はいなかった。田舎のちょっとしたおえらいさんがポツポツいるだけ。その様子に落胆するラネーフスカヤ。そしてその日は桜の園が競売にかけられる日だった。競売にはガーエフとロパーヒンが出かけていった。

ラネーフスカヤに別れたパリの恋人からよりを戻したいと手紙がくる。心動かすラネーフスカヤ。金目当てだと忠言するトロフィーモフ(藤井隆)と口論になる。

ガーエフとロパーヒンが戻ってきた。競売で競り勝ったのはロパーヒン。かつて農奴として自分の親や祖父が仕えていた領地が自分のものになったのだ。あの館が。あの桜の園が。泣き崩れるラネーフスカヤ。楽団に「金はいくらでもあるからもっと演奏しろ!」と怒鳴るロパーヒン。ロパーヒンに心惹かれながらも館の鍵をロパーヒンの目の前で床に落とし、拾わせるワーリャ。

桜の園から伐採されている音がしている。
館を出る日が来た。
アーニャとトロフィーモフは新たな生活に希望を燃やしている。
「フィールス(江幡高志)を誰がお医者に連れて行ってあげて」
とアーニャは今までのように召使達に軽く頼むが
「もうあなたに雇われているわけじゃないんですよ」
と誰にも願いを聞いてもらえない。
でもその出来事にたいしてショックも受けずにアーニャは旅立って行く。

憎からず思い合っていたロパーヒンとワーリャは本懐を遂げることなく違う場所で生活することを選ぶ。ガーエフは外に出て働くこととなり、ラネーフスカヤはヤーシャ(迫田孝也)を連れてパリにもどることになった。それぞれがそれぞれの道を歩くのだ、これから。

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三谷さんが「これは喜劇(コメディ)です」と宣伝されてましたが、うむむー。笑う場面も抱腹絶倒、腹抱えて笑いました!というものではなかったです。自分の状況を顧みずに今まで通り散在する没落貴族のとんちんかんぶりは面白いんだけど、でもその笑いはすっとぼけてて笑うだとか、情けなくて笑うだとか、あざ笑うだとか、冷たく笑うだとかの割合が強かった。笑いっていってもいろんな要素があるからね。喜劇(コメディ)よりもファース(笑劇)の要素はなんとなく私にも理解出来た。でもコメディだと断定されてもな・・。ものごとには性格がない。例えばお金を落とした。それはとっても落ち込むし、シリアスで悲しい出来事なんだけど、マヌケで笑っちゃう出来事にも見える。ある出来事に対して悲劇なのか、喜劇なのかは各人の主観って気がするんだよね。悲劇か喜劇かは作り手が言いきることではないと思うの。客が決めればいいことで。そもそもコメディって何ぞ。


原作も読みましたが、三谷版、と銘打ってあるからすごくアレンジしているのかと思いきや、思いのほか原作に忠実。エピドーホフがカエル靴みたいにキュッキュなる長靴を履いているのもチェーホフの戯曲通り。シャルロッタが手品をするのも然り。三谷さんが笑いを入れる為に突っ込んだエピソードではないんですね。でもって全体の感想はといえば、脇役は芸達者な人がキャスティングされていて、戯曲はチェーホフ、主演は浅丘ルリ子。三越劇場でやるような劇といえばいいんだろうか。きれいにまとまっている感じ。

でも何しろ浅丘ルリ子の浮世離れぶりを見られてよかった。貴族的な衣装がまー、似合うのなんのって。ロウ人形みたいだった。(ほめ言葉です)

今ってすごーく綺麗な女優さんでも浮世離れしているかと言われたらそうでもない。堀北真希も北川景子も佐々木希もとっても美しいと思うけれど、普通に切符とか買えそうだし。それに現代は一般人でも綺麗な人もいっぱいいる。情報も早いし、お洒落な店だって山のようにある。だから今の女優さんは世間からそんなに離れていないんだよね。世間そのものが底上げされているから。でも浅丘ルリ子さんが20代の頃は違ったと思う。情報は本や新聞、あとは口コミ。素敵なものを買うのはえっちらおっちらデパートまで。映画は重要な娯楽で、それが世間だったはず。今はいろんな事がフラットになった分、光がそこだけに集中する、ということが少なくなったと思うのです。そしてその光の集中が浮世離れした女優を生む環境だったのかなと。浅丘さんの独特の雰囲気は生来の美しさだけでなく、時代が作ったものなんだろうなあ、と思いました。

あとワーリャを演じた神野三鈴さん!すっごーーーーーーーーーくお上手ですっかり大ファンになってしまいました。恥ずかしながら神野さんのこと、この舞台で初めて知りました。舞台はあまりテレビでお見かけしないお上手な方に出会えるのが楽しい。浅丘さんの浮世離れと神野さんの演技が見られただけでもこの桜の園、見て良かったです。
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by mareemonte | 2012-08-23 12:02 | 劇やら映画やら
野田地図「THE BEE」
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「THE BEE」 水天宮ピット マチネ 
野田秀樹 宮沢りえ 近藤良平 池田成志
筒井康隆「毟りあい」原作

ちょっとだけ占星術が出来ます、私。(個人的な星占いはしないです。いろんな意味で大変だから。)
2012年の2月つまり今年の2月に魚座の守護星である海王星が魚座に回帰しました。
海王星が魚座に回帰する時って「自分と他者との境界線があいまいになる」
ってことが現象として起こりやすくなるらしい。(ほんとにちょっとしか占星術出来ないのではっきりと言いきれないけど、この解釈であっていると思う・・)

確かにこの他者との境界線があいまいってものすごーい実感することが多い。例えばフェイスブック。それまでのコンピュータの世界はやれ、顔を乗せるとアブナイ、実名なんてもってのほか、っていう空気だったですね。それがどうだ、実名も顔写真ものせて、友達のつながりも分かって、自分の今いる位置情報なんかものせて、どこでだれと会って何をしたって記録までのせちゃう。私なんぞは古い人間だから「おいおい、そこまで自分のセカイをさらしてしまっていいのかえ?」と疑問に思うし、フェイスブックの「元気いっぱい!ポジティブポジティブ!」みたいな空気に違和感があって、イマイチ踏み込めないけど、世の中の流れはこの「あいまいさ」「可視感」みたいな方へ進んでいるように思います。今年魚座に入った海王星はむこう10年は魚座に滞在するから、これからもっと世の中は透明感が要求されて、可視出来るようになり、他者との境界線があいまいになりそう。それが良かろうと悪かろうと、そういうムーブメントんだろうな。ま、このあいまいさからの反動で「閉ざされた世界」「選民意識」「秘密結社」なんてのも裏主流として起こりえそうなんだけど。

この「自分と他者があいまいになる」「正と悪があいまいになる」「絶望と希望があいまいになる」っていう世界が今回の野田地図の「THE BEE」に描かれた世界なのですが。
いやー、ムナクソ悪かった!

エリートサラリーマンの井戸(野田秀樹)が、息子の誕生日祝いを手に抱えながら自宅に帰ると、妻と子供が脱獄囚(近藤良平)に人質に取られ、自宅に立て籠もられていた。
脱獄囚は自分の妻が、自分を捨てようとしている事に怒り、妻との復縁を要求して、井戸の家に立て籠る。井戸の妻子を解放して欲しいなら自分の妻が自分の元に帰ってくるように説得しろと。

井戸は警官と一緒に、脱獄囚の妻(宮沢りえ)に夫を説得させるために妻の自宅へ出向く。妻は子供(近藤良平)と二人暮らし。ストリッパーをしている妻は井戸の話に耳を貸そうともしないし、傲慢な態度で井戸に接する。
警官が脱獄囚の妻に乱暴な態度をとるので井戸は頭を殴ってしまい、結果警官を殺してしまう。こんなはずではなかったと狼狽する井戸。しかしこれこそがきっかけとなり、井戸の中の正義と悪がひっくり返っていく。井戸は警官の腰から拳銃を抜く。被害者から加害者へ。暴力には暴力で。井戸は脱獄囚の妻子を人質にとり、脱獄囚と対峙するのであった。

拳銃を脱獄囚の妻子に突きつけ、窓を封鎖し、密室の中にこもる3人。
妻を凌辱し、子供に暴力をふるいながらもその妻に飯を作らせ、3人で食卓を囲む。
起床。身支度。食事。暴力。食事。暴力。食事。凌辱。就寝。
日常と非日常の境界線があいまいになっていく。恐怖なのかなんなのかさえ妻は分からなくなっていく。
井戸が一度だけ拳銃を体から離した。その拳銃を手に取る妻。しかしその引鉄を井戸に向けることなく、またいつも通りの密室の生活に戻ってしまう。

「妻子を解放しろ。さもなくばお前の子供の指を切る」
狂気と化した井戸は脱獄囚の子供の指を1本切り取り、それを封筒にいれ、脱獄囚に届ける。泣き叫ぶ子供、庇いながらも井戸の行動に逆らえない母親は子供の指を封筒にいれ、封をして外の世界へ運ぶ。

玄関のポストにポトン、と封筒が落ちる。
ようやく解放する気になったのか、と封を開けるとそこには井戸の子供の指が入っていた。激怒する井戸。また脱獄囚の子供の指を切り、封書に入れ、外へ妻へ運ばせる。

ほぼ指を切りとられた子供は死ぬ。
今度は妻の番だ。ご飯の後に何も言わず指をさし出す妻。
指を切る井戸。
切り続けると妻も死ぬ。

まだ封書が届く。

さあ、自分の指を切ろうか。




やれ、暴力の連鎖がどうだ、9.11がどうだとか言われてきたが、実のところ、私はそんなことのために芝居をやっているわけではない。もしもそれだけの演劇だったとしたら、この芝居はただの頭でっかちのつまらないもので終る。演劇の中で大事なものはテーマではない。小道具である。このことを世界中を回って改めて確信した
パンフレットより 


と野田さんが仰っているだけあって小道具が冴えていました。舞台装置は一枚の紙がつるされているだけ。これが舞台背景になります。カッターで切れば窓になり、テレビになる。紙の下に入れば布団になるし、ちぎれば手紙にもなる。紙はどんどんくしゃくしゃになっていって、それはまるで生活の荒みそのものに見え、内面さえも表されているように見えました。手につけた鉛筆は切られていく指に見立てられたものだったし。

舞台を見ながら「これが演劇だから見ていられるんだよなあ」とずっと思っていました。
もしこれが本当の出来事だったら、指を包丁で切るっていったって、荒んだストリッパーの使っている包丁がよく研がれたものであるはずがない。指はなかなか切れなくて、何度も何度も包丁を上下させて指を切ったはずです。血も出る。体は脂汗をかいて、うめきながら震えるだろう。窓を封鎖された密室で空気の入れかえもしないだろうから、生活臭も血の匂いも充満する。洗濯ものだってたまっているはずだ。演劇だから見ていられる。異臭が漂うわけでもないし、生活道具が紙で見立てられているからこそ心に逃げ場がある。これはお芝居なのだ、と認識出来るのだなと。これがスーパーリアリズムを追及した映像での表現になるといわゆる「演劇」ではなくなってしまうのだろうなと思いました。


劇の最後は井戸が自分の指を切りおとそうか、としているシーン。カタルシスは一切排除されたものになっています。
「おれは被害者としての適性のない人間だ。だからおれはより困難なこの立場を選んだ。おれが好きでこの道を選んだんだ」
確かに井戸は自分の中の内なる狂気に自分で気がつき、それを喜んでいるんじゃないかと思う表情をするんだよね。正と悪があいまいになり、被害者と加害者の境界線があいまいになり、日常と非日常があいまいになった井戸は狂気に狂喜することで感情を昇華させていったんだろうか。


原作は筒井康隆の短編小説「毟りあい」。私が高校の時に筒井康隆の「文学部唯野教授」という本を読んでいたら国語の先生にめちゃめちゃ怒られた。「筒井康隆なんて読んだら精神が歪みますっ!!!」って。学校の図書館で借りたんだけど(爆)確かに明治生まれの先生には筒井康隆の小説の世界は歪んだものに映ったのであっただろう。がしかし現実の世の中は昭和に書かれた筒井ワールドを遥かに超えた事件などが起きるようになってしまった。筒井康隆氏は断筆されてしまったけれど、今ももし何か書くことがあったらどんな小説を書いてたんだろ。

現実の酷い世界にフィクションが勝てるはずがない。だからテーマに比重を置くということはしないのだろうか、野田さん。次回作は「エッグ」。9月に観劇する予定です。楽しみ。
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by mareemonte | 2012-07-07 11:30 | 劇やら映画やら
神話 復活ライブ 女性自身のWEBページに掲載されています☆
女性自身のwebページに神話復活コンサートの記事があがっています。うさぎの耳に突っ込みはしないでー(汗)でも見てー(願)
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by mareemonte | 2012-06-07 09:02 | 劇やら映画やら
封印解除&解散公演 第三舞台「深呼吸する惑星」
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第三舞台「深呼吸する惑星」
2011年12月 マチネ 新宿 紀伊国屋ホール
筧利夫 長野里美 小須田康人 山下裕子 筒井真理子 高橋一生 大高洋夫 
作・演出 鴻上尚史


去年の暮れだったか。秋元康さんが朝日新聞で「見た人の心に確実に刺さるコンテンツ」を作ることが出来ずにいて、いつか心に刺さるものを、という思いがAKBを立ち上げるきっかけとなったというインタビューを読んだ。そしてその発想の元が鴻上尚史率いる「第三舞台」野田秀樹率いる「夢の遊眠社」だったと。秋元康さんが憧れたものの一つは多分、小劇場における役者と観客の距離感なんじゃないかと思う。あの距離の近さがAKBの身近なアイドル、という発想になったんだろう、きっと。物理的な距離、刺さる言葉、スピード感。秋元さんもワクワクしたんだろうな。

第三舞台は10年間封印されていた。その封印が10年ぶりに解かれる。
そしてそれは解散公演となった。
私は鴻上さんのエッセイなどは愛読していたが、舞台を見に行ったことはなかった。
「ハヤタさん、鴻上さんの舞台、行かれます?」
と鴻上さんの担当編集をされていらした方(そして今はとってもえらくなってしまった)からお声をかけて頂いた。それはもちろん参ります。
ということで12月、第三舞台「深呼吸する惑星」を見に行ってきました。

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新宿の紀伊国屋ホール、15年ぶりくらいかもしれない。前回の舞台は余貴美子さんの舞台だった。こじんまりとした、しかし風格のあるホール。沢山の優秀な舞台を生みだしてきたからなのか、空間そのものにプライドすら感じる。久本雅美さんや野際陽子さん、山本耕史さんからのお花が。華やか。

鴻上さんにお目にかかる。
「おめーよー、10年も連絡よこさなかったじゃねーかよーう」
と舞台に御一緒してくださった方に鴻上さん、絡む。
「いやいや、鴻上さんが第三舞台を封印していたからじゃないですかー」
と仰っていらした。いいなあ、なんか。楽しそう。

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プロローグ。
葬式の帰りにたまたまその場に居合わせた人同士が故人について少し語りあうところから始まる。
故人はブログをやっていたらしい。
「死んだらブログやSNSはどうなってしまうんだろう?」
「虎死んで皮を残す。人は死んでアカウントを残す」
たわいもない話をしながらあるものは電車で帰り、ある者は会社からの迎えの車を待ち、三々五々散って行った。

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笑える場面も多いのだけれど、この年齢で見たからこそ身につまされる台詞が多かったです。
なんというんだろう、未浄化な気持ち?心残り?そういうものが登場人物全てにあり、それを抱えながらヒトはどうやって進んでいくか、というのをこの舞台に見たように思います。喪失感、不在感。登場人物は膝をつき、肩を落とし、首をうなだれながらも生きる道を選ぶのね、ただ1人をのぞいて。

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生きていくことは、
後悔と溜め息を重ねていくこと。
それでも、生きていくことを、
自分から辞めてはいけない。
そして、彼は、
誰も味方になってくれなくても、
戦いを続けていく。

パンフレットの冒頭の書き出しです。



アタシは
・ポジティブ・シンキング
・夢は思い描けば絶対叶う
・人生を楽しむ
などという事はあんまり信用してないんです。
正直なところ。
こういう気持ちってさ、圧倒的な病気を患っていたり、環境が悪かったりしてても湧いてくる気持ちか?道端歩いているだけで爆弾落とされるような所に住んでいたら将来の夢より今日の命じゃね?
ある程度の礎があって、そこからだよね、こんなステキな感情は。

かといってずっとジメジメしてる訳でもないんだけどさ。

楽しいこともある、嬉しいこともある。悲しいこともあるし、絶望もある。それでいいじゃん。いつもいい事ばかりじゃない。良いことも悪いことも何もかも背中にしょって歩けばいい。背中が重くなったらたまに荷物を降ろして休めばいい。そんなメッセージを受け取れる舞台でした。役者さんは皆さん、とっても達者。さすがでした。

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鴻上さんの舞台は言葉が残る。
台詞が頭に浮かんでくる。
秋元さんが憧れた「心に刺さるコンテンツ」ってこういうことなのかな。

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写真で見ると温和な丸い方(失礼)ですが、本物はセクシーなんだよーう。思いのほか。(またしても失礼)隣は私。満面の笑みがこっぱずかしいので自分は切りました。わっはっは。
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by mareemonte | 2012-02-03 09:55 | 劇やら映画やら