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メタルビーズ教室

・横浜教室
平日行っております。
ご希望の方は
hayatayuko@gmail.com
へご連絡頂ければと思います。
詳細をご連絡致します。

メタルビーズ教室は分教室は一切ございません。





ご質問等は
mareemonte@excite.
co.jpまで。内容によってお答え出来ないこともありますのでご了承下さい



【ウーマンエキサイト】ゴールドブロガーに選んで頂きました。



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天星小輪・4
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「もう一人お嬢様がいらっしゃるんですか?」
「そうです。今、シンガポールに留学しているんです。」

中国美女の絵画を飾った壁側にはチェストがあり、夥しい数の銀縁の写真立てが乗っている。中でも一番大きなものに最近撮ったらしい家族の写真が入っていた。


「この写真、素敵ですね。」
「どうも有難う。結婚25周年の記念に撮ったんです。この時は家族の写真を集めた本も作ったのよ。」
「もしよかったら見せて頂けませんか?」
「喜んで。」






「シンガポールに留学するって、どういうことが分かりますか?」
コーディネーターが私に問いかける。
「え、留学するって勉強の為ですよね?」
「そうです。でもヨーロッパでもなく、アメリカ圏でなく、シンガポールに留学するのは意味がある。」
「意味って。」
「シンガポールには東南アジアの華僑の富裕層が数多く住んでいるんですよ。つまりはネットワーク作りです。」
「ああ・・。華僑は人脈社会ですもんね・・。じゃあ香港のお金持ちの子供って殆ど留学しちゃうんですね。」
「そうです。香港の富裕層はまず、国内の学校だけで終わることはないんですよ。一番ポピュラーなのはイギリスへの留学ですね。もちろん中文大学のようにレベルの高い大学も香港にはあることはあるんです。でもそういう人は中文を出てからハーバードに行ったり、ソルボンヌに行ったりしますよ。あと最近はドイツ語圏の留学を多く聞きますね。」
「国内での評価と国際的な評価を手中におさめると。」
「まさに。で、留学していると交流が少なくなるでしょ、国内の。だからパーティーが頻繁にあるんですよ。さしずめ顔合わせですかね。」



席を外していたマダムが本を携えて戻ってきた。
「どうぞ。」





本の表紙はさっき見たチェストの上に飾られている家族写真だった。
中をぱらりとのぞく。

私はあるページで手がとまった。息がとまりそうになる。




若い頃のマダム。ミンクの毛皮を着てクロコダイルのハンドバッグを持ち、夫に自分の腕をからませエッフェル塔の前で笑っている。


別段変わった所はない。これが日本人の写真であるならば。

















私の友人の父君は腕にひどい火傷の跡がある。ある時友人がぽつり、と漏らした。
「父は文学者だったから。」


上海出身の友人の父君は北京大学で教鞭をとっていた。ところがある時を境に北京を追放され、職を追われた。文化大革命である。父君は決して、決して自分の事を中国人とは言わなかった。いつでも上海人、と言った。


友人の所に遊びにきていた父君がお茶をすすっている姿が頭に浮かぶ。










香港は中国ではなかったのだ。
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by mareemonte | 2007-01-26 23:23 | | Trackback
天星小輪・3
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「迎えの車を出してくださってありがとうございました。ロールスロイスだなんて。」
「よかったわ、役に立ったのね。あの車は室内が広いから便利でしょう」
「はい、とても。」
「ロールスロイスで娘は学校に行っていたのよ」
「え、そうなんですか?」
「あの車のよさはね、広くて豪華なだけではないの。運転手もつくし、警護も乗れる。香港は誘拐が多いから。」
「誘拐対策で、ですか。」
「そうよ。誘拐されて身代金をとられ、肝心の子供は殺され、臓器は売られる。高値でね。そんなことがあるからセキュリティにお金をかけるのはとても大事なことなんです。」






メイドが小さな椀を両手で大事そうに運んできた。





「これは何ですか?」
「燕の巣です。どうぞ。」
「燕の巣って、家庭で食べるものなんですか。」
「そうね、我が家では。」
「あの、この器って。」
「翡翠です。」

厚みのある翡翠の椀は小さいのにずしりと重い。きめ細かい肌をしており、ひんやりと冷たかった。椀の表には猛々しい龍が空に登っていく絵が刻まれている。添えられた蓮華も翡翠で、これは薄い造りだった。燕の巣を蓮華ですくって口に運ぶ。冷たい石と暖くて甘い燕の巣が入り交じる感触。



「おいしい。」




「これ、どうやって作るんですか?」
「水に戻した燕の巣を2時間くらい火にかけます。味付けは氷砂糖。私達は毎日これを欠かさず食べます。朝起き抜けが一番いいのよ。吸収率が違うのね、起き抜けは。」
「お嬢様、アメリカでも食べていたんですか?」

「いえ、食べていなかったんです。」
令嬢が口を開いた。
「アメリカでは初めて食べたピザがおいしくて毎日ピザばかり食べていたんです。」
マダムが続く。
「そうしたらこの子、アメリカに行って3か月で10キロ太ったの。」
「10キロも。」
「そう。娘に会いに行って驚いたわ。すごく足が太くなってて。だからクリスマス休暇は香港に戻らせて私が毎日マッサージと足のバンテージをしたんです。それで10キロ戻しました。」


中国美女の絵画を背に座っているマダムが燕の巣を口に運ぶ。絵の中の美女は纏足をしていた。バンテージでぐるぐる巻きになった足と纏足。ぼんやりと絵を眺める私にマダムが気がついた。

「バンテージは纏足ではないのよ。」
「え?あ、いえ、そんな、そんな、あの。」
「纏足は中国の女を家の中に閉じ込めておく為のものでした。足の指を折り曲げてそのまま纏足をすればまともに歩くことだって出来なかった。それは女の意志ではない。バンテージは女の意志です。自分の目指す足の形を自分で作ることが出来ます。だけどね、悲しいことに纏足をしている女が持つ美しさというものがあるんです。鬱屈した処にしか宿らない美があります。私は中国大陸の美をつくる商売をしている。この美しさも受け入れなければいけない。だからあえてこの絵を飾っているのよ」



私は黙り、マダムも令嬢も口を開かなかった。
翡翠の蓮華が燕の巣をすくう小さな音だけが響いている。






「あの、お手洗いをお借りしてもよろしいでしょうか。」
「ええ、もちろん。」
マダムがメイドに目をやり、案内するように言っている。私はメイドの後ろについていった。ふとダイニングの奥を見る。すぐが台所になっていた。切り株のような大きなまな板と中国包丁が置いてある。その奥がメイドの部屋だ。台所と同じタイル続きの床。化粧のはがれた薄い緑の漆喰の壁には左右に紐が渡してあり、一面に洗濯物が干されている。家具は二段ベッドだけでその傍に日焼けて色褪せたイエス・キリストの絵が画鋲でさしてあった。
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by mareemonte | 2007-01-22 07:53 | | Trackback
天星小輪・2
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一体いくつくらいなのか、まるで分からない。全身から放つオーラと貫禄からいってもそんなに若いはずではなかった。しかし顔には皺一つ、シミ一つない。肌は真っ白であったが、べたりと色で塗り込められたそれではなく、張りがあり瑞々しかった。内側から光を当てているようだ。
一分の隙もなくセットされた髪は明るい栗色に染められている。銀糸が織りこめられている深い赤のシャネルスーツはまるで誂えたかのようによく似合っており、スーツの下にはとろりとした質感の乳白色の丸首のインナー、そしてそこからのぞく首には夜露に濡れたようにしっとりと光る翡翠がかかっている。


「遠い所をわざわざ有難う。どうぞ、お入りください」


ダイニングルームに通された。
私は心の中で大きなため息をつく。まるで映画のセットだ。艶のある銅色の長く大きなテーブル。椅子は12脚。左の壁側には金の額に入った中国美女の絵画。右の壁側には中国シルク絵画で出来た屏風が立てられており、角にはランタンが飾ってある。

「この、ランタン、明代のものですか?」
「あら?お詳しいのね」


友人がチャイナエアラインの客室乗務員のテストを受ける際に中国史の筆記試験があるというので、上野でやっていた明・清時代の美術展につきあったことがある。そこでこれと同じようなランタンを見たのだった。そう、全く同じような。

「このランタン、日本の美術館で見たんです」
「ああ、そうなのね。これは明代の龍燈といってね。一番権力のあるものだけが持てたものなのです。さ、お座り下さい。」

椅子に座るとテーブル越しに窓から見える景色が目に飛び込んできた。よく絵はがきで見る香港の景色そのものだ。

「絵はがきみたいですね」
マダムは笑う。
「絵はがきはこの山のもう少しあがったところから撮ったものが多いんですよ。」


「この度はお時間をとってくださってどうも有難うございます。返還直前で何かとお忙しいですよね。」
「そうですね。いろいろと。昨日私は北京から戻ってきたばかりなの。」
「北京ですか。」
「そう。北京で美容学校を開くのでね。」







「遅れてしまってごめんなさい」
そういいながら部屋に入ってきた女性を見て驚いた。なんて奇麗な子なんだろう。
「お嬢様ですか?」
「そうです。今年アメリカの大学を卒業して香港へ戻ってきたの。」

美しい令嬢は挨拶をする。

「モデルとか芸能界とか、そういう道に進まないのですか?」
思わず質問をした私に令嬢は横に首をふりながら答えた。
「それはないです。でも先日シャネルでパーティーがあったんです。その時はボランティアでモデルとして参加しました。私がモデルなどをやる時はボランティアのみです。プロにはなるつもりはないです。」
「ボランティアモデルということは、シャネルのパーティーはチャリティーだったのですか?」
「ええ。ショーの入場料が全てドネーションされました。」
「そうでしたか。でも・・。もったいない。あなたの美貌なら一流のモデルになれます。間違いないです。」
「でもこの子はもうやることが決まってるの。」
令嬢が何か言おうとした時にマダムが答えた。






マダムの後方にさっきのメイドがうろうろしている。
私の目線に気が付いてマダムも自分の後ろを振り返る。
「メイドさん、お二人いらっしゃるんですね。」
「そう。いい子達よ。家族同然に暮らしています。」
にこやかな笑顔で私に対応した途端、さっとメイドの方に顔を向ける。今見た笑顔はどこへいったのか。冷たくて厳しい目であごをしゃくりあげる。メイドはさっと奥に引っ込んだ。
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by mareemonte | 2007-01-18 23:04 | | Trackback
天星小輪・1
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港島香格里拉大酒店の車寄せにシャンパンゴールドのロールスロイスは到着した。
運転手が恭しくドアを開ける。私達は乗り込み、今日の仕事場へ向かった。細くて曲がりくねる道をシャンパンゴールドのロールスロイスは山肌にはりつくように華麗に道を駆る。太い植物の蔓が何度も大きな音を立てて車の窓に当たる。
「ひゃっ。」
窓側に座った私はいちいち驚くが、コーディネーターはさも当たり前といった風でひっきりなしにさっきから携帯電話で誰かと喋っていた。

コーディネーターの電話が終わったところで私は話しかけた。
「あの、この車の色って珍しいですよね。」
「そうですね。この色は世界でも何台もないはずでしたよ、確か。」
「やはりそうですか。香港はよくロールスロイスが走っているのを見ますが、この色は初めて見ました。」
「ペニュンシュラホテルやリージェントホテルで所有しているロールスは白や黒ですからね。」
「こんな車を迎えに使うなんて、今日の人って相当すごい人なんですね?」
「そうです。相当。」

中環側の山の手を随分走った所にまっすぐに立ちそびえる建物がある。今日向かっているのはそこだった。

「こんなロールスロイスを持っている人でもマンションなんですか?」
「香港は強盗がよく入るから一軒家は危険なんですよ。財産の多い人はセキュリティーの完全なマンションに住む事が殆どです。たまに一軒家に住む人もいますがね。マカオのカジノ王とか。」










「こんにちは、マダム。何か御用ですか?」
マンションの入り口で燕尾服をきたバトラーが私達に話しかけてきた。美しいクイーンズイングリッシュ。コーディネーターが広東語でやりとりを始める。先程まで優雅で気取った風情だったバトラーは広東語を喋りだすと途端に声が大きくなり、声質も変わり、あけすけな印象となった。何故人は母国語を喋りだすと途端にほっとした顔になるのだろう。


「このマンションってインターホンとかないんですか?」
「ないです。全部バトラーが連絡をとって、大丈夫な人間だけが中に入れます。」
「宅配便とかどうするんでしょう?」
私の一般庶民的質問にコーディネーターが笑いながら質問に答えてくれた。
「メイドがここまで取りにくるんですよ」



まもなく許可がおり、私達はマンション内へ入ることになった。黒い大理石で床も壁も全て出来ている。ピカピカに磨きあげられた大理石は鏡のように光っており、顔さえも映るようだった。その豪華絢爛なホテルのようなロビーを通り、蓮の浮かぶ池のある中庭を抜け、エレベーターに乗り部屋へ向かった。


エレベーターから降りると扉は一つ。つまり1フロアまるまる家だということ。
呼び鈴を鳴らす。
インタホン越しに女性の声が聞こえた。
少し待つとメイドが扉をあけにきた。唐草模様の施された重い鉄の扉。二重になった鍵を開けるとその奥にマホガニー色の厚みのある扉がある。これが部屋に入れる直接の扉だ。
「ドア、二枚なんですね。しかも表のドア、鉄格子ですよね?用途的に」
「そうです。香港は強盗が本当に多いから」
「バトラーが表にいたのに?」
「そうです。でもここまでしても盗られるときは盗られるんですよ。壁をつたって窓を破ったりしてね。」
「窓って、ここ高層マンションじゃないですか。」
「そうなんですけどね。でも以前こんな高級マンションの最上階で窓からの強盗がありましたよ。家具も根こそぎやられたんです。」








「初めまして、こんにちは。ようこそいらっしゃいました。」
扉が開くとすぐに鈴を転がしたような張りのある声が出迎えてくれた。
今日の主人公だ。
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by mareemonte | 2007-01-14 22:01 | | Trackback
下町散歩
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金魚街

袋詰めの金魚が飛ぶように売れていく午前10時。店におっさんがどんどこ入ってくる。おっさん、仕事は?今日は仕事休みなのか?とかたっぱしから質問したくなる。金魚を買うのは風水的に非常に良いことなんだとか。香港人は縁起物好き。

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by mareemonte | 2007-01-14 08:05 | 香港 | Trackback
麗晶酒店・3
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「またえらい別嬪さんやね」

女優の撮影を行っている最中に日本語で背後から声をかけられた。
後ろを振り返るとがっちりとした体型で日焼けした肌、嫌みなまでに光輝く黄金の腕時計をした男がいた。その横には柳の枝のように細い美女。


「女優さんか、何か?」
「あ、はい。」
「あんた、こっちの人?」
「私、ですか?」
「そう。」
「いいえ。日本から来ました。」
「仕事で?」
「はい。」
「ははは、可哀想にな、こんな奇麗な場所であんた、仕事かいな。」
返す言葉もなく、ただ苦笑いをする。
「わしら、これから麗晶軒でディナー。だからこの子の髪をセットしてもらうんでね。美容室に行くんだよ。さっきもな、きれいなおべべを買ったんやで。な?」
金時計の男は美女をさっき手に入れた気に入ったおもちゃのようにいじくりまわす。
美女は私と視点があっても表情を変えない。私のもっと後ろの、どこか遠くを見ているような目だった。




これじゃまるでモノみたいだ。







女優の撮影が終わった。私のほうへ近寄ってきた。



「ねえ、私、あんなの欲しいの」
さっきまでの無表情だった美女ではなかった。金時計の男の背後からべたりと自分の体を密着させ、首をかしげて男に囁いている。目だけが女優の手元の大きなエメラルドにどっさりとパヴェダイヤが散った指輪を食い入るように見つめていた。

「おお、そうかそうか、じゃあ指輪を買ってやろう」
美女に甘えられた金時計の男はとろけそうな顔をしている。



なんだ、女の方が一枚上手なのか。




ホテルアーケードに消えていく金時計の男と美女の背中を見ながら女優が言った。
「私はこの指輪は自分で買ったのよ。じゃ、撮影終わったからこれで」
短い挨拶を交わして女優は帰っていった。





2001年6月1日、買収された麗晶酒店(リージェントホテル)は香港州際酒店(インターコンチネンタルホテル)と姿を変えた。
女優は今でも香港テレビドラマで主役をはっている。
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by mareemonte | 2007-01-09 22:57 | | Trackback
麗晶酒店・2
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エメラルドグリーンのセーターに脚にぴったりのメタルシルバーのパンツ、シルバーのピンヒール。どこから見ても目立つ服だった。

「すごい服ですね」
「ヴェルサーチよ」

これが女優との最初の会話となった。
漆黒の髪に透き通るような白く滑らかな肌、筋の通った鼻に大粒のアーモンドのような目。口元には笑みはなく、退屈そうに豪華なソファに体を委ね、足を組んでいる。その美しさはポルトガル人と中国人のハーフだからか、一発で国籍を当てることは出来ないようなものだった。

麗晶酒店は九龍サイドの海沿いに立つホテルである。酒を飲む場所はガラス張りで中環サイドの夜景が一望できるようになっている。夜景の光を際立たせる為であろう、黒の大理石が多様され、照明は極力落としてある。女優は薄暗い中でも発光しているかのようだった。丁度闇から生まれた光のように。


「今日の顔は気に入っていますか」
口角だけをキュッとあげ、微笑むふりをする。

質問に入る。

香港テレビという局が香港の中では一番大きなテレビ局である。この香港テレビでは毎年ミス香港というものを選抜している。ミス香港は優勝者のほかに2人選ばれ選ばれた年は一年間ボランティアなどの活動をする。その後は芸能界に入ることがお決まりのコースになっている。富豪と結婚し、ロールスロイスに乗るような暮らしをする、というパターンも少なくない。ミス香港在籍中は毎日毎日新聞などの取材記者が自分のまわりにはりつき「ミス香港!おばあさんを助ける!」とか「ミス香港!小さな子供に駅で切符を買ってあげる!」という信じられないような記事が大見出しとなって次の日の新聞の芸能欄を飾るのである。彼女はミス香港優勝経験を持つ女優である。

「ミス香港だったんですよね」
「そう」
「落ちたらどうしていましたか?」
「落ちようなんて考えて応募する人なんているかしら」
「一般的に考えたらいると思います」
「私は落ちてもいい、受かってもいい、ただその時の自分を試したかったのよ」
「受かっていろいろ周りは変わりましたよね」
「そうね」
「女優になるのはもともとの夢ですか」
「違う」
「ミス香港になったから女優になったと」
「そういうことね。私は特別なりたいものはなかった。将来の夢というのも特になかった。ただ、自分の流れを読む、という事は常に気にしていた。ミス香港は私のビッグチャンスだった。そのチャンスを逃さないようにしただけのことだった」
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by mareemonte | 2007-01-08 22:37 |
麗晶酒店・1
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その女優のインタビューをするのでとった場所はオープンしたばかりの新宿のパークハイアット東京のパークスイートルームだった。私は質問を考え、準備を整え、万全を期して女優が来るのを待った。約束の時間は午後6時だった。


しかしドアはあかなかった。10分たっても、20分たっても。


コーディネーターが焦り出す。
「今、連絡してみます」
電話はなかなか終わらない。口から滑り落ちる広東語は次第に熱を帯びはじめていた。
コーディネーターが電話を切った。
「ちょっと部屋まで行ってきます」




やることもなく新宿の夜景を眺める。眺め続ける。美しい。しかしどうでもいい。



戻ってきたコーディネーターの顔は青白かった。そして私にこう告げた。
「今日は顔が気に入らないそうです」


ホテルのロビーに降りていき、公衆電話を探す。上司に一部始終を報告する。
多分私の声は震えていたのだろう、いつもなら怒鳴られるだろうに上司は冷静な声で
「ホテルの支払いをすませて社に戻ってくるように」
と私に指示を出した。

パークハイアットの当時のパークスイートの値段は一泊10万だったと記憶している。誰も来なかったこの部屋に10万払ったのだ。どぶに金を捨てるとはよく言ったもの。私は鼻でせせら笑い、理不尽さに腹もたてられなかった。

社に戻るとコーディネーターと上司との間で話がついていた。私は香港に8日後に行くそうだ。もう航空券の手配も出来たらしい。
「あの、私明日からロスなんですが」
「ロスの次の日から香港だから。チケット受け取りに行って。そのまま帰っていい」
「・・・。行ったところでインタビュー、とれるんでしょうか」
「それは行って問題が起きてから考える事だろう」




ロスから成田へ。ロスでも馬車馬のように働いたが、私は飛行機の中で眠ることが出来ない。成田に着いた時には体力が残っていなかった。
上司に電話する。
「あの・・。家に帰る力が残っていません。成田に一泊していいですか?」
許可がおり、成田で宿泊した。安堵のあまり、部屋につくなりベッドに倒れ込み、そのまま朝まで眠ってしまった。


香港は朝一のキャセイパシフィック便だった。昼に香港に着く。ホテルにチェックインし、荷物を広げたら夕方にはもうインタビューだ。機内で質問事項を整理しておく。

午後四時。麗晶酒店のロビーラウンジで待ち合わせだった。
女優は本当に来るのだろうか。不安で胸が押しつぶされそうだった。
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by mareemonte | 2007-01-07 08:17 |
Brightness of Christmas
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幻想的な輝きがそこかしこに。
旧正月まではクリスマスイルミネーションが燦然と輝いています。







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闇の中から産まれる輝きはかくも悩ましく、美しいのか。吸い込まれてしまってもかまわない、と思わせる抗えない力が宿っているように思う。
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by mareemonte | 2007-01-06 10:33 | Comments(0)
中国スイーツ
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冰官燕


燕の巣の氷砂糖煮。氷砂糖で煮ると肺が潤うのだそうです。この効能は上白糖や黒砂糖などでも得られないものなのだとか。今回の旅行ではこの冰官燕のほかに官燕のココナツミルクのスープも食しましたが、これも大変おいしゅうございました。
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by mareemonte | 2007-01-05 09:03 | 香港 | Comments(0)