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メタルビーズ教室は8月までお休みです。教室の皆様とは秋にはお目にかかれますように。インスタグラムやってます。metalbeadsroom 下の青いアイコンをタップしてください
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メタルビーズ教室

・横浜教室
平日行っております。
ご希望の方は
hayatayuko@gmail.com
へご連絡頂ければと思います。
詳細をご連絡致します。

メタルビーズ教室は分教室は一切ございません。





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mareemonte@excite.
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天星小輪・5
ロサンゼルスに「LILY」というアンティーク・クローズを扱う店があり、ここに通ってはカール・ラガーフェルドやケイト・モス、ナオミ・キャンベルがこぞって買うブランドがあった。ホルストンである。ホルストンはアメリカン・ヴォーグの編集長、アナ・ウイントゥアーの前任、グレース・ミラベラの時代に富裕層を風靡したブランドで、その特徴は体のラインを絞ったデザインでありながら品格が崩れることはなく、動きやすく扱いやすいのに高級感が匂い立つというもので、だから当時のジェット・セッターの間では移動する時に着る服として、仕事をする時の服としていつでも愛されていた。グレース・ミラベラはホルストンに心酔していて彼のコレクションで旅支度を全て整えていたし、ジャクリーヌ・ケネディもホルストンのパンタロンを好んで着ていた。アメリカの同時代に活躍を始めたデザイナーはラルフ・ローレン、カルバン・クラインなどがいて、その誰よりもホルストンは富裕層に望まれていたブランドだったはずだし、事実栄華を極めた頃もあったが、結局麻薬に手を出して失墜し、ブランドは消滅した。
天星小輪・5_b0048834_10292392.jpg









70年代のマダムの写真はホルストンを着ているものが多かった。ベージュのパンタロンスーツを身に付け晴れやかに笑い子供と手をつないでいる。背景はニューヨークの街並み。

「ホルストンはいい服だったわね。」
マダムが懐かしそうに写真を眺める。
「この服が欲しくてよくニューヨークに行ってたわ。一時クローゼットの半分くらいはホルストンだったわね」
「今もこの服をお持ちですか?」
「ないわね。チャリティーに出したの。でもあの着心地は最高だった。一枚くらいとっておけばよかったわね。あなたに見せてあげられたし。」
「ニューヨークは今でもよく行かれるんですか?」
「そうね。カナダ行った帰りにニューヨークに寄るわ」
「バンクーバーですか?」
「そう」
「今、香港の富裕層の方は随分カナダに移住してらっしゃいますが、やはり移住を考えていらっしゃるんですか」






アヘン戦争以来イギリス領植民地として中国から割譲された香港は結果、イギリス資本の下発展した。共産主義の政治が香港を司ることがなかったから拝金主義はどんどん育っていったし、文化大革命で文字を捨てることがなかった香港の知性が途切れることはなかった。植民地であったがゆえに香港は守られ、繁栄した。その香港が1997年7月1日、中国へ返還されようとしていた。









友人の父君が筆で字を書くのを見たことがある。同じ字を寸分違わずに同じように書き続ける。升目の中を埋め続ける父君に私は感嘆の声をあげた。
「すごいですね」
「練習すればこのくらいになりますよ」
「いえいえ、そんなこと、ないです。私にはそんな才能はないです」
「これは才能ではありません。練習なんですよ。優子さん、やりたい気持ちがあるならたくさん練習すればいいんですよ。」


酷い火傷のひきつれのある腕は滑らかに動き続ける。





北京大学の教授だった父君の住処はある日突然群衆に取り囲まれ門を破壊され、家財を投げ捨てられ、火をはなたれた。全ては炭となった。父君は家族と共に山村の農家に送りこまれ、農業に従事することを余儀なくされた。苦労が続き自殺も考えたが子供がいたのでそれだけは思いとどまった。文革が鎮まった頃に上海に移住し、そこでまた教職を得て働くようになった。

父君の話を聞いたのは随分時間が経ってからだった。
「だから私がアメリカに留学すると言った時もイタリア人と結婚すると言った時も父はとても喜んでくれたの。中国で暮らす必要ないって。」










「私は移住は考えていません」
マダムはきっぱりと言った。
「あの。こんな事は申し上げ辛いのですが、香港が中国に返還されたら共産主義の色が濃くなることはないのでしょうか。そこに不安はないのですか」
「あなたは香港が中国そのものになると思う?」



父君の腕を思い出す。

「なる可能性もあると思います。十分考えられると思います。」



マダムは深くため息をつく。
「私は香港が中国化するより中国が香港化の道を辿ると思っています。私は中国人ですし、香港に残ります。」
「美容は個人的なもので、いってみれば個人の資産ですよね。共産主義的考え方からいったらそれは共通の資産ではないから、規制がかかったりしないんでしょうか」
「全ての女性は美しくなりたい。そうじゃありませんか?男性は美しい女性が好きではありませんか?美しさは国家的な問題といえます。規制がかかるとは私は思いません。
先日北京へ出向いた時も素晴らしい歓待を受けたんです。香港は今は自由貿易で中国の中でもトップクラスに経済状態がいいですが、所詮この土地の狭さです。中国大陸は広い。私はここを離れる理由はないのです。」


マダムは微笑んだ。
「成功します。必ずね。」
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by mareemonte | 2007-02-03 10:21 | | Trackback
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