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新宿・3
新宿・3_b0048834_21443835.jpg








金魚ちゃんと別れてからシアタートップスで吉本のライブを一本見た。その後午後4時からインタビュー。待ち合わせ場所はニュートップス。シアタートップスという小劇場の入っているビルの一階がニュートップスという喫茶店となっている。昔の事なのできちんと覚えていないが、インタビューする側は大物脚本家である。こちら側が待ち合わせ場所を指定したのではなかったように思う。相手の希望を聞いていたはずだ。不思議な日だった。全て約束が新宿に集結していた。



このインタビューは本来は私の仕事ではなかった。先輩の仕事だったのだけれど、どうしてもこの脚本家に会いたかった私は無理をいって、同席させてもらったのだ。
「呼んで下さって有難うございます。大人しくしてますから。」
「大人しくしてるの?聞きたいことあるから来たんでしょ?」

ただ見たかっただけです、なんて本音はとても言えなかった。
「はい。じゃあ、質問してしまうかもしれません。」






苦しまぎれの嘘を言った。















本物が目の前にいる。


一見普通の初老の男性に見えなくもないが、新宿の喧噪の中を歩いてきたとは思えない静のオーラに包まれていて、どこか俗世界とは一線を画した雰囲気があった。




私は脚本家の目を見ることが出来なかった。恐ろしいような、恥ずかしいような、逃げ出せるなら逃げ出したかった。あんなに会ってみたかったのに。出来ることなら隣の席でたまたま居合わせた人間になりたいと思った。その位の距離があればよかったのに。そのくせ脚本家がコーヒーを飲んだ隙にチラチラと盗み見る。洞察力の鋭い脚本家にはさぞかしけったいな人間に見えたことだろう。







「看護学校を出て看護の仕事をするっていうのは社会ではとても役立つんです。でも学校名を隠すんです。そんなの、おかしいでしょ。一流大学の名前に怯む必要なんて全くないんです。」
脚本家の代表作と呼ばれる一つに看護学校の生徒と名の通っていない大学生の恋愛が軸になっているドラマがある。たしか、このドラマの話をたくさんしたはずだ。緊張しすぎていたからか、記憶が断片的でしかない。あまり覚えていない。多分顔をのぞき見る事に必死だったからだと思う。





だけど一つだけくっきりと、鮮やかに今でも思い出す言葉がある。



「人は人とつながっていたいんですよ。」



インタビューが終わったあと、少し雑談をした。その時の脚本家の言葉だ。

「以前とてもいいドラマを見ました。橋の上においでよ、という田向さんが書かれた脚本のドラマで。NHKでやっていたんですけどね。」
「あ、それ見ました。主人公の男の人、よかったです。」
「僕も思いました。堤真一くんといって新人なんですよ、あの人。」
「そうなんですか。」
「あのドラマは予備校生がテレクラで知り合った女性と会うか会わないか、そういうドラマだったのですが。」
「ええ。」
「テレクラで知り合った人に会うなんてこわいじゃないですか。」
「はい。」
「でもあの青年は恐さのリスクより寂しいほうが耐えられないんです。だからこそ危なさも恐さも分かっているのに会いにいってしまう。それはね、やはり人とつながっていたいからだと思うんです。最後のシーンが素晴らしかった。橋の向こうに女の人が立っている。渡るか、渡らないか。そこで話が終わるんです。」
「はい。」
「女の人の目の前に立つのか、引き返すのか、それは視聴者の気持ちが最後のシーンを決めるようになっていたんですよ。あれはいい演出でしたね。」


脚本家は言う。
「きっとこれからの時代、もっと人は人とつながっていたいと思う気持ちが強くなるでしょう。僕はそう思っているんですよ。」


この日の出来事は春だった。








新宿伊勢丹に自分の靴と子供の弁当箱を買いに行った時、そういえばあの日は春だった、と懐かしい気持ちになり、昼は車屋別館で肉を食べた。昔と変わらず店はそこにあり、肉はおいしかった。少し遠回りしてニュートップスの前を通りかかる。あった。この店も変わらずそこにあった。変わったのは人間ばかりか。あのインタビューの後、脚本家は「もうドラマを書くことはないと思います。」と新聞で発表した。金魚ちゃんは実家に帰った後、何年か年賀状のやりとりがあったが、ある年に宛先不明で手元に戻ってきてから消息知れずとなった。みんなそれぞれの橋を渡ってしまったのだろうか。


「人は人とつながっていたいんですよ。」
静かに語る脚本家の顔を今でも思い出す。つながっていたい。でも実際は生きている限り変わっていく。時間が過ぎるとはそういうことだ。






いつか金魚ちゃんに会うことはあるのだろうか。多分、ないはずだ。それでいい。
by mareemonte | 2007-04-09 21:45 |
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